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2枚の半導体ダイを積層しながら、1.1mmと薄いフォトダイオードを実現:福田昭のデバイス通信(248)(1/2 ページ)
前回に続き、京都セミコンダクターが発表した赤外線フォトダイオード(PD)「KPMC29(KP-2 Two-tone PD)」について解説する。今回は、同製品の特長と構造を説明したい。
SiとInGaAsの半導体ダイを積層
本コラムの前回では、光半導体デバイスの専門メーカーである京都セミコンダクターが2020年5月26日に発表した赤外線フォトダイオード(PD)の概要をご説明した。受光波長範囲が400nm〜1100nmのシリコン(Si)PDダイと受光波長範囲が1000nm〜1700nmのインジウムガリウムヒ素(InGaAs)PDダイを同じ光軸上に積層することで、400nm〜1700nmと広い受光波長範囲を実現したフォトダイオードである。
発表したフォトダイオードは表面実装タイプで、外形寸法は長さ5.7mm×幅4mm×高さ1.1mmと小さい。同社の従来品(挿入実装タイプの金属封止品)と比べて体積は8分の1に減少した。
従来品(左上)と開発品(右下)の体積の比較。左上の従来品は、InGaAs PDダイの上にSi PDダイを積層している。2つのダイの間には絶縁体であるスペーサーを挿入してある。大きさは直径9.2mm×高さ3.7mm(挿入実装用リード部分を除く)。右下の開発品は、パッケージ基板の上にInGaAs PDダイを搭載し、さらにへこみのあるSi PDダイを載せている。SiダイのへこみにInGaAsダイが納まるので、InGaAsダイの高さはゼロとみなせる。出典:京都セミコンダクター(クリックで拡大)
受光面の大きさはSi PDが2.2mm角、InGaAs PDが0.83mm角である。受光感度はSi PDが0.7A/W(波長950nm、バイアス0V、代表値)、InGaAs PDが0.9A/W(波長1550nm、バイアス0V、代表値)、暗電流はSi PDが0.1nA(逆バイアス5V、代表値)、InGaAs PDが1nA(逆バイアス5V、代表値)となっている。
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