FPGAで“GPU級”のAIアクセラレーター実現を目指す:MipsologyとXilinxが協業(2/2 ページ)
AI(人工知能)ソフトウェアを手掛ける新興企業Mipsologyは2020年6月24日(米国時間)、Xilinxのデータセンター向けアクセラレーターカード「Alveo U50」に、Zebraが統合されたと発表した。
コストがネックになるGPU
Larzul氏によると、GPUソリューションからの変更の動機は、ほとんどがコストだという。「ハードウェアのコストを下げたいが、ニューラルネットワークを再設計したくない、という要望が多い」(同氏)
FPGAはチップサイズが比較的小さく、GPUを含む他のアクセラレーターよりも低温で動作することが多いため、信頼性にも優れているという。これは、長期的なメンテナンスコストが大きくなるデータセンターでは特に重要だ。
また、Zebraを使うことで「FPGAは性能で勝負できるようになる」と同氏は強調する。FPGAは通常、他のアクセラレーターに比べてTOPS(つまり演算性能)が低いが、入念に設計されたZebraのコンピュートエンジンと組み合わせることで、TOPSをより効率的に利用できると同氏は述べる。
Larzul氏は「これは、AIを加速するASICを手掛けるほとんどのスタートアップが忘れてしまっていることである」と語る。「FPGAをベースにしたZebraのエンジンは、処理能力が6倍(TOPSの値が6倍)のGPUよりも、1秒間に処理できる画像の数が多いのだ」(同氏)
Zebraのエンジンは、画像処理で主に使用されているCNNだけでなく、BERT(Googleの自然言語処理モデル)にも適用できる。将来的には、LSTM(Long Short-Term Memory)やRNN(Recurrent Neural Network)を含む他のタイプのニューラルネットワークをカバーする可能性があるという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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