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あの医師がエンジニアに寄せた“コロナにまつわる13の考察”世界を「数字」で回してみよう(64)番外編(6/13 ページ)

あの“轢断のシバタ”先生が再び(いや、三たび?)登場。現役医師の、新型コロナウイルスに対する“本気の考察”に、私(江端)は打ち震えました。今回、シバタ先生が秘密裡に送ってくださった膨大なメール(Wordで30ページ相当)に書かれていた、13の考察をご紹介します。

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【考察5】シバタが江端さんに期待しているシミュレーションについて考えてみる

 前項の通り、基本再生産数R0は免疫無し、介入無しの状態で「1人が何人に感染させるか」というその集団における初期値である「定数」を求めます。これは集団の基本的伝染能を表しています。過去・現在・未来で言えば、「過去」方向に向いた検討です。

 一方、実効再生産数Rtは、外出自粛や営業自粛、3密回避やマスク着用などのいわゆる行動変容によってR0が変化した結果、つまり「現在」の感染動向をリアルタイムで検出する、その指標として用いられるものです。

 そして、シミュレーションは仮定の下に未来の感染者動向を予測する、「未来」方向に向けた検討です。ただ、過去・現在の検討は感染者数動向のデータからの計算が可能(と言うことになっているの)ですが、実際に仮想空間上で仮想人を動かして感染者数動態がどう変化するかを詳しく調べた報告は見たことがありません*)

*)江端ツッコミ:前述した通り、江端が目指しているシミュレーターが、まさに「これ」です。ご相談に乗って頂ける方(ボランティアで)のご支援をお待ちしております。ただし、自力でコード書けるとか、DB構築できるとか、Dockerに組み込めるとか、AWSで運用できるとか「具体的なモノ作り」ができる人を希望します。「アドバイス」とか「助言」とか「意見」とか、その手のご支援は不要です。

 シミュレーションを行う場合、非感染者の「感染する能力」と、感染者の「感染させる力」にびっくりするくらいの多様性がある ―― つまり個人差がありすぎて、集団として取り扱うことがすごく難しい ―― ことが最初のハードルです。

 例えば ――

「感染者のほとんどは他人に感染させずに治癒してしまう」

という衝撃的な報告が、厚労省の資料中のデータにも書かれています(データから計算される実効再生産数Rtが小さすぎるのでうのみにはできませんが)。

 日本ではいわゆるスーパースプレッダ*1)とそれに伴うクラスター*2)が重要と言うことになっていますので、スーパースプレッダの発生確率とクラスターの規模の期待値をどの程度に設定するかをパラメータに加えることになります。

*1)通常考えられる以上の二次感染例を引き起こす環境または人。例えば、R0=2.86(つまり二次感染は3人弱)の東京の中にあって、一気に10人以上に感染を広げてしまう感染者または環境。

*2)"群れ"の意味。例えば、3密状態のカラオケの集会、『奥様、今日もお美しい』とお客の顔の近くでささやくサービスを遂行せざるを得ないホストクラブ、魂の叫びを歌に乗せて演者と観客が一体となることをウリとしているライブハウス、などが、今、ターゲットとされています。

 さらには「手洗い」「マスク」「ソーシャルディスタンス」「換気」「学校」「通勤電車」などが「感染する能力」「感染させる力」に与える寄与度がどの程度か、どう数値化すればいいのかなど、自由度が高すぎて素人目にも問題山積です。

 ニュースで「夜の街関連」の感染拡大が盛んに取り上げられていますが、これをシミュレーションにどう組み込むのかもサッパリですし、行動が未来をどう変えるかというシミュレーションこそが最も求められる情報であると思うのですが……*)

*)江端ツッコミ:グウの根も出ないほど、シバタ先生のおっしゃる通りです。しかし、私も座しているだけではありません。詳しく申し上げることはできませんが、今、「私個人」だけでなく、「私たちのチーム」も、総力を上げて、この問題に取り組んでいます。

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