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「Intel Outside」、アウトソースの道を選ぶのか?半導体王者に迫られる選択(1/2 ページ)

業界観測筋によると、Intelは今後5〜10年以内に、次世代半導体プロセス技術の開発を終了し、新しいウエハー工場の建設も中止して、他の多くのライバル企業と同じように、これらの重要なサービスを専業ファウンドリーに依存していく見込みだという。ただしIntelからは、この件に関する正式発表はまだない。

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 業界観測筋によると、Intelは今後5〜10年以内に、次世代半導体プロセス技術の開発を終了し、新しいウエハー工場の建設も中止して、他の多くのライバル企業と同じように、これらの重要なサービスを専業ファウンドリーに依存していく見込みだという。ただしIntelからは、この件に関する正式発表はまだない。


Intel CEOのBob Swan氏

 ここで一度明確にしておこう。これはつまり、最後の旧世代IDM(垂直統合型半導体メーカー)が、今まさに消滅しようとしているのだ。IntelのCEO(最高経営責任者)であるBob Swan氏は先週(2020年7月20日の週)、アナリストたちに向けて、「Intelは2022年までに、次世代プロセス技術の社内開発を継続していくのか、またはファウンドリーの活用を拡大していくのかどうかについて、決断を下す予定だ」と語っている。

 また同氏は、「顧客企業向けに、最も優れた予測可能性と性能を提供することが可能なプロセス技術を導入していく上で、自社開発するのか、外部のファウンドリーを利用するのか、またはその両方を組み合わせるのか、いずれにしろ現実的かつ客観的に判断していく考えだ」と述べる。

 重要な技術や製造、システム開発などを、全てまとめて主要な消費拠点からアジアへとアウトソーシングするということは、市場における未来のイノベーションが、半導体と同じくらい重要視されているということを示唆している。エレクトロニクス組み立てのアウトソーシングは1つの選択肢ではあるが、欧米が半導体プロセスを明け渡してしまうのは、個々の企業が即座に金銭的利益を享受することができても、愚かな行為ではないだろうか。

 しかし、Intelを責めてはならない。同社はこれまで果敢に挑戦してきたが、これまでほとんどのライバル企業たちが長期にわたって採用してきた戦略を、今になって活用しようとしているところなのだろう。Intelは、欧米の優れた半導体技術の“最後の砦”を守ることに疲れているのだ。

 半導体プロセス技術開発における課題が山積みである上に、近代的な半導体工場の建設には、ばく大なコストが掛かる。同社は単に、「プロセス技術開発や製造工場の保守などに必要な費用を、正当化し続けるのは不可能だ」という当然の結論を受け入れたのだろう。

 米国はアウトソーシングによってここまで来ることができたが、残念ながら、アジアなどの他の場所にサービスを移行したサプライチェーンの多くは、迅速な回復を遂げることができていない。設計チェーンも、アジアへの移行を減速させている。そして今、米国最後のプロセス技術開発メーカーが、IDMの継続を捨てようとしている。

 Swan氏は、「当社は、7nmプロセス品の開発に後れを取ることになるだろう。満足できるような性能をまだ達成できていない。今後、社内または社外で製造するのか、社内製造の選択肢を確保しておくべきか、社内外の両方をうまく組み合わせるのか、または全てそのまま社外で製造するのかなどについて、現実的に割り切って検討していく考えだ」と付け加えた。

新市場で増え続けるライバル


長年、ムーアの法則をけん引してきたIntelだが…… 画像:Intel

 Intelはこれまで、新しいプロセス技術を開発し続けるために数十億米ドルを投入する余裕があった。実際に、かつてのIntelには、最先端の製品を競争力のある価格で提供できる強みがあった。ライバル企業は、PC市場で第1位の半導体部品の供給先であり、プロセッサのトップサプライヤーでもあるIntelに太刀打ちできなかった。同様の理由で、Intelはデータセンターのサーバに使用されるプロセッサの市場を独占している。

 しかし、自動車や通信、データおよびネットワーク、医療、産業など、PCやデータセンターと同様に需要の大きい新たな市場が誕生し、市場の動向の変化とともに、プロセス技術と半導体の大量出荷をリードしていたIntelの優位性は失われていった。

 5G(第5世代移動通信)やADAS(先進運転支援システム)、AI(人工知能)が進化し、世界経済のあらゆるセグメントで自動化が進んだことで、プロセッサ市場は後方へと追いやられた。これらの市場の一部では、20〜30年前に設立された新しい半導体サプライヤーの多くが優位に立っており、Intelのような古くからある企業の競合は増えている。

 また、TSMCのような専業ファウンドリーの登場も、Intelを圧迫した。ファウンドリーは、技術プロセスの開発や工場、研究開発、その他の資本集約的な活動にあまり多くのリソースを割きたくない半導体メーカーにとって、低コストの代替手段となる。Intelは半導体業界で長らく孤高の存在として事業を継続してきたが、そろそろ限界を迎えようとしている。

 Intelの元CEOであるPaul Otellini氏は、業界では同社の活動指針とは反対の勢いが増していると指摘し、10年前にこうした状況に対する警鐘を鳴らしていた。Otellini氏は2010年11月のTime誌のインタビューで、「半導体は21世紀の最も重要な技術だ。欧米の政府、特に米国政府は、国内のハイエンド半導体の製造工場を維持したいのであれば、時折支援を表明する以上のことをする必要があるだろう。当社が半導体の大半を米国で生産し続けることは不可能だ」と述べている。

 当時、Intelは製品の75%を米国で生産していたが、収益の75%は海外向けの売り上げによるものだった。Otellini氏はTime誌に、「資本補助金や設備補助金、免税期間などの支援によって、公平な競争の場を確保することができる」と語っていた。

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