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米国がHuaweiに対する禁輸措置を強化関連会社38社をリストに追加

米国のトランプ政権は、中国への半導体輸出に対する圧力を強めている。Huawei Technologiesの関連会社を輸出禁止措置の対象に追加することで、中国による米国製の最先端半導体製造装置の利用をさらに制限する方針だ。

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 米国のトランプ政権は、中国への半導体輸出に対する圧力を強めている。Huawei Technologiesの関連会社を輸出禁止措置の対象に追加することで、中国による米国製の最先端半導体製造装置の利用をさらに制限する方針だ。

 米国の半導体業界団体のある幹部は、「半導体の輸出規制に対する“突然の政策転換”に驚いている」と述べている。

 米商務省は2020年8月17日(米国時間)、エンティティリストにHuaweiの関連会社38社を追加すると発表した。同リストに掲載された企業が米国製の最先端半導体技術を購入するには、輸出者が輸出ライセンスを取得する必要がある。2020年5月に米国製の半導体設計ソフトウェアと製造装置の輸出規制を強化する決定がなされたが、今回の追加はそれに続くものである。新しい規則は、特にHuaweiと同社の半導体部門であるHiSilicon、その他の関連会社を対象とし、これら企業による米国の最先端半導体技術の利用を排除することを目的としたものである。

 この動きは2つの超大国間の迫り来る技術冷戦の一部で、中国政府は、国内産業に潤沢な資金を投入して進める「中国製造2025」政策によって、西欧の技術への依存から脱却することを目指している。

 米国半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)や北米のIC機器メーカーを代表するSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International、国際半導体製造装置材料協会)などの米国の業界団体は、急成長している中国のエレクトロニクス市場との関係を断つことに対して懸念を表明している。しかし、最近は、米国の輸出規制強化への反対を控えるようになっていた。

 米国の禁輸措置強化が、世界最大のファウンドリーでHuaweiの製造委託を請け負っているTSMCにどのような影響を与えるかについては、まだ分かっていない。

 米商務長官であるWilbur Ross氏は、Huaweiの関連会社を追加したエンティティリストの発表にあたって、「Huaweiと海外の関連会社は、中国共産党の政策目標を達成するために、米国のソフトウェアと技術を利用して開発または製造された最先端の半導体を調達する取り組みを拡大している」と指摘した。

 これに対し、SIAのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるJohn Neuffer氏は、「SIAは現在、輸出規則の強化について検討中である」とする一方で、「今回の輸出規則の強化は、米国の半導体産業に多大な混乱をもたらすものだ」と警告した。

 Neuffer氏はさらに、「米国企業の痛手を抑えながら国家安全保障の目標の達成を目指すという、より限定的なアプローチからの突然の政策転換に驚きと懸念を感じている」と付け加えた。同氏は、「政治的な問題の影響を受けずに中国に商用製品を販売することで、米国の半導体研究と技術革新が促進される。SIAは、それが米国の経済力と国家安全保障にとって極めて重要であるという見解を繰り返し述べてきた」と述べている。

 だが、改正されたエンティティリストによって、米国のEDAやその他のソフトウェアツール、高度なリソグラフィーや半導体製造装置を使用して開発または製造されたチップを輸出するHuaweiの事業はさらに制限されることになる。禁輸措置が拡大されたリストには、アジア、アフリカ、中南米、欧州にまたがる21カ国のHuaweiの関連会社が含まれている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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