Huawei、スマートフォン出荷で初めて首位を獲得:2020年Q2のランキング
Huaweiは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが引き起こした市場低迷に立ち向かい、世界スマートフォン出荷台数で初めて首位を獲得した。
Huaweiは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが引き起こした市場低迷に立ち向かい、世界スマートフォン出荷台数で初めて首位を獲得した。
IDC(International Data Corporation)による2020年6月30日付のレポートによると、米国政府のブラックリストに載せられているHuaweiは、2020年第2四半期(4〜6月期)に5580万台のスマートフォンを出荷し、初めて業界の首位に躍り出た。IDCは、Huaweiにとって過去最高となる20%の市場シェアについて、中国での成長にけん引されたものとしている。
2020年初頭、米国商務省はTSMCからHuaweiへのチップ供給を停止したが、Huaweiはそうした状況でもシェアを伸ばしたことになる。数週間前、TSMCはHuaweiへのチップ出荷を2020年9月まで停止すると発表した。EE Timesがインタビューした複数のアナリストによると、Huaweiは、スマートフォンと5G(第5世代移動通信)通信機器を2020年いっぱい製造し続けるのに十分なチップとその他の部品を備蓄しているという。
Arete ResearchのアナリストであるBrett Simpson氏は、2020年6月のインタビューの中で「Huaweiが数カ月前に発表した2019年のレポートによれば、同社は235億米ドル分の在庫を確保している。同社は2019年に在庫率を75%まで伸ばした。Huaweiは2018年にも同様の対策を取っていた」と述べた。
米国商務省の制約の狙いは、5G分野での中国のリードを鈍らせることだったが、中国は引き続き独自の5G市場を構築する態勢にあるようだとSimpson氏は述べている。
IDCによると、2020年第2四半期の世界スマートフォン出荷台数は前年比で16%減少したという。
IDCでリサーチディレクターを務めるNabila Popal氏は「スマートフォン出荷台数は、個人消費と直接的な相関関係があるため、2020年第2四半期に大幅に落ち込んだ。つまり、広範なロックダウンが引き起こした世界経済危機と失業率の高まりにより、出荷台数が大きく落ち込んだということだ。加えて、特にオンライン通販があまり普及していない地域では、小売店が閉鎖されたことも相まって、スマートフォン販売への影響が一層悪化した」と述べた。
地域ごとにみると、アジア太平洋地域(中国と日本を除く)、西欧、米国のスマートフォン出荷台数は、それぞれ31.9%減、14.8%減、12.6%減となった。IDCによると、中国の減少率はそれらよりわずかに良い10.3%で、市場回復の初期兆候をいくらか示している可能性があるという。
IDCのバイスプレジデントであるRyan Reith氏は「スマートフォンのサプライチェーンは、パンデミックによって急停止した。だが、特に中国で力強く回復している」と述べた。
Samsung Electronicsは2020年第2四半期、5420万台のスマートフォンを出荷し、Huaweiに次ぐ2位となった。シェアは19.5%とHuaweiに肉薄した。一方で出荷台数は前年比で28.9%と大きく落ち込み、スマートフォンベンダーの上位5社の中では最大の減少幅となっている。Samsungのフラグシップスマートフォンである「Galaxy S20」や「Galaxy Z Flip」は、残念なことにパンデミックのさなかに発売された。そのため、価格を下げたにもかかわらず、販売台数が伸び悩んでいるとIDCは分析している。
3位はAppleで同四半期には3760万台を出荷し、シェアは13.5%だった。「iPhone 11」シリーズと「iPhone SE(第2世代)」が好調で、「iPhone」の販売台数は前年同期比で11.2%増加している。
4位はXiaomi、5位はOPPOで、シェアはそれぞれ10.2%、18.8%だった。OPPOにとって2つ目に大きい市場なのはインドだが、同国ではコロナによる工場の閉鎖と、反中国の動きの高まりによって、OPPOは需要と供給の両方で壁にぶつかっている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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