この記事は、2020年8月24日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陽性者と濃厚接触したかどうかが確認できるスマートフォンアプリ「COCOA」の運用が始まり、2カ月が過ぎました(正確には最初の1カ月は試行版として運用)。緊急事態宣言解除後の会見で安倍首相が「クラスター対策の鍵」として紹介しリリース前から注目が集まっていましたが、効果発揮の条件やプライバシー関連の誤解が広がったり、不具合が相次いだりしたこともあってか、その普及率は順調とはいえないのが現状。特に陽性者登録者数については2020年8月21日午後5時現在でいまだ360件にとどまっています。
読者の皆さんの多くは既にご存じのことかもしれませんが、このアプリは一人でも多くの人が利用することでその効果が高まるもので、プライバシー侵害のリスクは極めて低い設計がされています。筆者としては、「COCOAは入れたほうがいいし、安心して陽性者登録もして欲しい」と考えており、漠然とした不安から利用を避けている場合は、その中身をきっちり理解したうえで利用について判断してほしいと思っています。
筆者の周辺の声やSNS上の意見では、COCOAの利用を避ける理由として、プライバシーやバッテリーへの負担に関する不安などがよくあがっています。ですが、COCOAの仕様は、位置情報の取得はなく利用者を監視するような仕組みは全くない/個人情報を取るような仕組みも一切ない/陽性になっても同様で個人情報は記録せず特定されることはない/バッテリー消費も気にならない程度……といった形になっており、そうした心配は不要。利用者が増加するにつれて感染拡大防止の効果が高まる一方で、デメリットはほとんどないといっていいでしょう。
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