米が3.5GHz帯オークションを開催、落札総額は45億ドル:Verizonが最多、AT&Tは不参加
米連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)が開催した最新の周波数帯オークション「Auction 105」では、Verizonが最も多くのライセンスを取得した。今回、オークションにかけられたのは、5G(第5世代移動通信)の展開に向けて非常に切望されているミッドバンド(3.5GHz帯)である。落札総額は45億9000万米ドルに上り、そのうち19億米ドルをVerizonが投じた形だ。
米連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)が開催した最新の周波数帯オークション「Auction 105」では、Verizonが最も多くのライセンスを取得した。今回、オークションにかけられたのは、5G(第5世代移動通信)の展開に向けて非常に切望されているミッドバンド(3.5GHz帯)である。落札総額は45億9000万米ドルに上り、そのうち19億米ドルをVerizonが投じた。
意外だったのは、上位5社のうち3社が、主流となるモバイル通信セクターへの参入を熱望しているケーブル会社だったことだ。この3社は、CharterとComcast、Cox Communicationsである。
第2位はDish Network(Wetterhorn Wirelessを通じて参加)だったが、これはそれほど意外ではなかった。同社は、少なくとも35Mビット/秒(bps)のモバイルネットワークで2023年までに人口の70%をカバーすることを公約に掲げて、全国的なモバイルネットワークの構築を精力的に進めている。
同社は9億1290万米ドルを投じて、合計5492ライセンスを取得した。同社は過去10年間で、膨大な量の貴重な周波数帯を取得している。
3.5GHz帯のオークションの結果。金額ではVerizon、取得したライセンス数ではDish Network(Wetterhorn Wirelessを通じて参加しているので、表記はWetterhorn Wirelessとなっている)が1位となっている 出典:FCC
ケーブル会社は、VerizonなどのMVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)パートナーへの依存度の引き下げに取り組んでおり、さまざまなスペクトル資産を活用してケーブルネットワークのエリア内に無線ネットワークを構築してきた。
AT&Tは参加を辞退
Auction 105の結果には、ミッドバンドのかなりの部分を解放するようにFCCに要請してきた主要フラグキャリアのうちの1社であるAT&Tが、オークションへの参加を辞退したことが大きく影響している。
AT&Tと同社最大のライバルであるT-Mobileは、2020年12月に開催される次の大規模オークションで多額の予算を投じる可能性が高いとみられている。次回オークションは、CBRS(Citizens Broadband Radio Service、市民ブロードバンド無線サービス)向けのCバンド(280MHz帯)が対象とみられる。先日終了したオークションでは、連邦政府と非連邦政府の共同展開が厳格に制限されていたが、次回オークションでこの制限が課されないとすれば、落札価格がさらに上がる可能性が高い。
T-Mobileは3.5GHz帯のミッドバンドオークションに参加したが、560万米ドルを投じて8ライセンスを落札しただけだった。ただし、同社はSprint Communicationsの買収によって、既にかなりのミッドバンドライセンスを所有している。
ミッドバンドは、5G対応ネットワークの効率的な展開に重要だ。実際に、アジア諸国が5G技術の採用において米国やほとんどの欧州諸国より進んでいるのは、この帯域へのアクセスと展開の準備が整っていることが主な理由だと一般的に考えられている。
米国では政府がミッドバンドを独占
だが、米国の大手ネットワーク事業者によれば、ミッドバンドに関する問題の一つは、政権、そして主に米国防総省(DoD:Department of Defence)が3.5GHz帯の周波数を“独占”していることである。
だが2020年初頭にDoDは、この重要な周波数帯を民間企業との間で共有できるようにするための、新しい協定に合意した。同協定では、共有の方法が厳密に定義されているという。
DoDのCIO(最高情報責任者)であるDana Deasy氏によれば、新たに結成されたAmerica’s Mid-Band Initiative(AMBIT)は、3450M〜3550MHz帯の100MHz幅のミッドバンド幅を連続的に使用できるようにする予定だという。
Deasy氏は、この新しい規則は、「DoDの運用への影響を最小限に抑えつつ、商用利用を無制限にできるようにすることを意味している」と説明した。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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