RF MEMSスイッチの新興企業が4400万ドル獲得:5G向けでも注目集める(1/2 ページ)
小型RF MEMSスイッチの先駆者であるMenlo Microが2020年10月に開催されたシリーズBの投資ラウンドで4400万米ドルの資金を調達した。
GE Venturesからのスピンオフ企業
小型RF MEMSスイッチの先駆者であるMenlo Microが2020年10月に開催されたシリーズBの投資ラウンドで4400万米ドルの資金を調達した。
同社はこの資金の大半を、“理想的なスイッチ”の生産能力を大幅に増強するために投じる予定だとしている。同社は2016年に、GE Venturesからスピンオフして設立され、GEがそれまで約12年間にわたって取り組んできたプロセスの改良を進めてきたという。
Menlo Microは既に、ワイヤレス通信や航空宇宙、防衛などの市場のメーカー向けにデバイスのサンプル出荷を開始しており、基地局やフェーズドアレイレーダー、アンテナ、ラジオヘッド、軍用無線などへの導入が進んでいるという。今後、5G(第5世代移動通信)に注力している無線インフラメーカーをターゲットに定めていくようだ。
Menlo Microの共同創設者であり、シニアバイスプレジデントを務めるChris Giovanniello氏は、「プロセス全体の鍵となるのは、真の堅ろう性を備えたムービングアクチュエータを実現することにある」と述べる。
同氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「最も困難だったのは、膨大な数の曲げ戻しサイクルに耐えることが可能な、導電性の合金について検討するという課題だ。また、極めて高い信頼性を実現するためには、使用する接点材料も重要である」と強調している。
同氏は、その材料について詳細を述べなかったが、現在使われている合金には一部、金が含まれていることを明かした。金属間接触スイッチは、完全に絶縁されたガラス基板上に構築されている。
既存品に比べて60%小型化が可能に
Giovanniello氏は、「このデバイスは、スウェーデンのSilex Microsystemsによって運営されているMEMS専業ファウンドリーが、ストックホルム近郊のイェルフェッラ(Jarfalla)の工場で製造する予定だ」と述べている。
「Menlo Microは以前から、このようなMEMS専業ファウンドリーとの間で協業関係を構築してきた。当社の特別な要求に対し、プロセス向けに新たな製造装置を追加するなどの対応をしてもらった」(同氏)
また、デバイスのパッケージに関しては、Menlo Microが設立当初から協業してきた基材供給メーカーであるCorningが手掛ける予定だ。パッケージングプロセスでは、Corningの最先端のTGV(Through Glass Via)技術が採用されるという。Menlo Microはこのプロセスの採用により、既存のワイヤボンドパッケージングと比べて、約60%の小型化を実現することが可能だとしている。
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