実装設備間の次世代通信規格「SEMI SMT-ELS」(後編):福田昭のデバイス通信(279) 2019年度版実装技術ロードマップ(87)(2/2 ページ)
「2019年度版実装技術ロードマップ」解説の最終回となる今回は、前回に続き実装設備間の次世代通信規格「SEMI SMT-ELS」について説明する。
実装ラインでプリント基板と基板データを同期して転送
「SEMI SMT-ELS」(JARAS1014/ELS)技術仕様の導入により、従来技術「SMEMA」では不可能だった複数の機能が実装ラインで活用可能になる。設備(装置)間でプリント基板データを送受信する、プリント基板の品種(機種)を一括して切り替える、プリント基板の品種を基板に同期して逐次に切り替える、検査機が取得したデータと連携する、設備(装置)とホスト間で通信する、といった機能である。
まとめると、設備(装置)とホストの通信によってネットワークを設定するとともにプリント基板の経路を設定し、設備(装置)間の通信によって品種の一括切り替えとプリント基板データの参照モード設定を実施し、プリント基板の実物とプリント基板のデータを同期して転送することによって品種の逐次切り替えとプリント基板のハンドオフ(一時停止と例外処理)を実施している。
また、従来のSMEMA規格のみに対応した実装設備はSEMI SMT-ELS規格の実装ラインに組み込める。仮想SMASHコントローラーと呼ぶ制御回路を介してSMEMAの信号と実装設備のデータをやりとりする。
SMEMA規格のみに対応した実装設備(実装マシン)をSEMI SMT-ELS規格の実装ラインに組み込む方法。「Virtual SMASH Controller(仮想SMASHコントローラー)」と呼ぶ制御回路を介してSMEMA対応マシンを接続する。出典:SEMI Japan(注:この図面は実装技術ロードマップには掲載されていない)(クリックで拡大)
なお、今回をもってシリーズ「2019年度版実装技術ロードマップ」を完結させたい。長期間に渡るお付き合いに深く感謝する。繰り返しになるが、「2019年度版実装技術ロードマップ」の本体はJEITAのWebサイトから購入できる。目次詳細は無料で閲覧できるので、ご興味のある向きは参照されたい。
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 実装設備間の次世代通信規格「SEMI SMT-ELS」(前編)
実装ラインの次世代通信規格を前後編で解説する。前編となる今回は、従来の通信規格「SMEMA」と、それを置き換える「JARAS1014」を紹介する。 - 接合材料に対する要求項目のランキング
ロードマップ第6章「実装設備」の第4節「実装技術動向」を説明するシリーズ。今回は、「接合材料」に対するユーザーの要望を調査した結果を紹介する。 - 実装設備が対応すべきプリント配線板と部品供給方式のロードマップ
引き続き、「実装技術動向」を紹介する。今回は、実装設備が対応すべき、プリント配線板と部品供給方式のロードマップについて解説する。 - ベアチップ/フリップチップを高い精度で装着
実装設備に要求する項目のアンケート結果を紹介するシリーズ。今回は「ベアチップ/フリップチップボンダ」に対する要求を説明する。 - 重要さを増す検査機からのフィードバック
引き続き、実装設備に要求する項目のアンケート結果を紹介する。今回は、「検査機」に対する要求と対策を取り上げる。 - 高速・高精度・低コストの実装工程を支える設備と材料
第6章「実装設備」の概要を説明する。まずは表面実装の設備と材料を取り上げる。