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ビットコインの正体 〜電力と計算資源を消費するだけの“旗取りゲーム”踊るバズワード 〜Behind the Buzzword(7)ブロックチェーン(1)(2/8 ページ)

今回から新しいシリーズとして「ブロックチェーン」を取り上げます。さて、このブロックチェーンを理解するために、まずは「ビットコイン」のお話から始めましょう。なぜビットコインか、というのは本文を読んでいただくとして、あらためてビットコインを調べ始めた私がまず発見したものは――「人間を支配するアルゴリズム」でした。

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「ビットコイン」には何の価値もない?

 こんにちは、江端智一です。

 今回より「踊るバズワード 〜Behind the Buzzword」の新シリーズ「ブロックチェーン」を始めます。

 と、言いながら、冒頭は「ビットコイン」の話をしていたりして、いきなり混乱させてしまっているかもしれません。

 最初にネタバレすると、実はビットコインに使われているコア技術の一つが、「ブロックチェーン」ですので、ビットコインを一通り理解すれば、「1粒で2度おいしい」が実現できるのです。

 そこで、今回は、私なりに理解したビットコインの仕組み(概要のみ)と、次回から本格的に解説する予定の「ブロックチェーン」についての私の疑問点を、全て書き出しておきたいと思います。

 まずは、「ブロックチェーン」の、ここ10年間のバズり方について、Googleトレンドを使って、その傾向を見てみました。

 では次に、「ブロックチェーン」と「ビットコイン」のバズり方を比較してみます。

 このグラフから明らかなように、「ビットコイン」の方が、「ブロックチェーン」よりも10倍以上もバズっていることが分かります。2014年2月にいきなりバズっているのは、NHKがビットコインに関する特集番組を行ったことが起因であるとも言われています。

 また、欧州の通貨危機(ギリシャ危機のあおりを喰らった、2013年3月16日のキプロスでの預金封鎖)を契機に、一気にビットコインが急騰したという事件も関係があると思います。

 まあ、ぶっちゃけて言えば「ブロックチェーン」はIT技術の集合体ですが、「ビットコイン」は、各国の貨幣制度に対する「不満」や「不安」が形になったものであり、さらに、それが「投資の対象」になっている、という面があります。

 ただ、ビットコインが一体何者であるのかが、理解されていないまま使われている、という点が決定的に違います。

 芸能人の出川哲朗さんが、ビットコインのCMに出た後に、ビットコインのレートが暴落したこともありました。当時、出川さんが、「ビットコインの仕組みを知らずにCMに登場していた」と、まるで「戦犯」のように言われたりもしていましたが ―― これは「いいがかり」です。なぜなら、多くの人がビットコインの仕組みを説明できなかったからです。

 というか、前回の連載後の、私のビットコインの勉強の結果から言えば ―― 「ビットコインのレート変動には、全く根拠がない」――というか、それ以前に、「ビットコイン自体には何の価値もない」のです。

 「それを言ったらおしまいだ。通貨という”モノ”自体に価値がないのは明白だ。単なる超高性能の印刷物、または、鋳造された金属だから」という人もいると思いますが、これは、その話とは次元の異なる話です。

 国家が発行する通貨には、国家に対する信用(『あの国の経済は、まだまだ成長し続けるぞ』とか)という名の「幻想」があります。

 しかし、ビットコインには、そのような「信用」という名の「幻想」を具備する仕組みが見当らないのです ―― これを知った時、私は相当なショックを受けました*)

*)それはもう、量子力学の「量子もつれ」に匹敵する程の衝撃でした(関連記事:「量子もつれ 〜アインシュタインも「不気味」と言い放った怪現象

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