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今後の「iPhone」、注目はアンテナモジュールかiFixitの分解を基に考察する(1/2 ページ)

iFixitがAppleの最新機種「iPhone 12」の分解レポートを公開した。同レポートを基に考察すると、今後のiPhoneの注目ポイントはアンテナモジュールではないだろうか。

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 経済的、技術的、政治的な理由から、2020年は5G(第5世代移動通信)展開のマイルストーンとなっている。

 Appleもついに、5G対応の「iPhone」を発売した。Appleは多くのトレンドを生み出すことで知られているが、時に“様子を見る”というアプローチを取ることもある(有機ELディスプレイやワイヤレス充電などがその一例だろう)。

 スマートフォン、とりわけフラグシップの機種は、チップメーカーの最新のコンポーネントに依存する。Appleはチップ設計の多くを自社に切り替えてきたが、5G対応については、そうはいかなかった。

 スマートフォンにおいてメモリ以外のシリコンで最も重要なものの一つがベースバンドプロセッサだ。iPhoneでは長らくQualcommのモデムを採用してきたが、「iPhone 8」ではIntelのベースバンドプロセッサとRFトランシーバーに移行した。「iPhone 11」が発売される2019年には、AppleによるIntelのモデム事業買収も発表された。

 モデムをIntel製に切り替えたことで、Appleは、設計で協業するチャンスを得られたと言える。また、一部のRFチェーンをAppleの傘下に置くことも視野に入れていたのではないだろうか。Appleは恐らく、複数世代にわたってIntelのモデム事業(もともとはInfineon Technologiesから買収)と密接に連携することにより、それを買収して社内に取り込みたいという判断に至ったとみられる。

 しかし、5Gを製品ラインアップに追加するには、社内の開発作業とは異なるスケジュールで進める必要があった。新型モデル「iPhone 12」では、再びQualcommに切り替えて、市場最先端のモデム/トランシーバーの組み合わせとして「SDR865」と「SDX55」を採用している。


「iPhone 12」のメインボード 出典:iFixit(クリックで拡大)

 Appleは現在、次世代iPhone向けとして、同社のAシリーズプロセッサに搭載することが可能なモデム/トランシーバーの開発を手掛けているとみられる。

 この開発競争には、どのメーカーが関与しているのだろうか。

 Appleの主要な競合相手であるSamsung Electronics(以下、Samsung)は、もともと半導体メーカーとしてスマートフォン市場の競争に参加したのであって、スマートフォンメーカーとして半導体市場に参入したのではない。もちろん同社は、5Gシステムや携帯電話機、基地局などのあらゆる製品向けに、5G関連の幅広いRF製品ポートフォリオを取りそろえている。

 Samsungは、同社の最新スマートフォンに、自社開発のチップセットを搭載しているのだろうか。

 いや、そうではない。

 そこには、Qualcommの存在がある。iFixitによると、「Galaxy S20 Ultra 5G」は、Qualcommのモデムとトランシーバーを組み合わせている他、「Snapdragon 865」プロセッサも搭載しているという(Samsungが独自開発した「Exynos」プロセッサは、一部の市場で使われている)。

 Samsung以外にも、既に製品を発表している5Gモデムメーカーとしては、Huawei(HiSilicon)とMediaTekが挙げられる。Samsungが、同社のスマートフォンに自社ブランドのモデムを搭載するという可能性もあるが、同社は社内の半導体グループを特別扱いするつもりがないため、Qualcommが勝者としての地位を維持する可能性が高い。今後の成り行きを見守っていきたい。

 SamsungのRFコンポーネント部門の内部売り上げは、スマートフォンではなく、スモールセル基地局製品の方にはるかに大きく依存することになるだろう。

 MediaTekはここしばらくの間に、スマートフォン市場への大規模な参入を果たした。同社のアプリケーションプロセッサは、もっと手頃な価格の5G端末市場において確実に普及していくだろう。ローエンドスマートフォンは、MediaTekの「Helio M70」モデムなどを含む新しいチップセットを採用するとみられる。

 筆者は、HuaweiのモデムやRFシグナルチェーンの技術力について直接の知識はないが、同社は、米国による規制という課題を抱えている。Huaweiにはどのような選択が残っているのだろうか。

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