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ビットコインの運命 〜異常な価値上昇を求められる“半減期”踊るバズワード 〜Behind the Buzzword(8)ブロックチェーン(2)(4/10 ページ)

「ブロックチェーン」を理解するために「ビットコイン」の解説を続けます。今回の前半はビットコインの“信用”について取り上げます。後半は、ビットコインに組み込まれている「半減期」という仕組みを解説します。これは、“旗取りゲーム”による賞金が、約4年単位で半分になること。ここに人間の力が介在する余地はなく、言ってみればビットコインの“逃れられない運命”なのです。

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ビットコインで決済できる店舗がない

 さて、ここで、前述した、意味の異なる2つの「ビットコインの信用」のお話をしたいと思います。

 ビットコインで使われている「信用」とは、もっぱらブロックチェーンの技術的な信用です(ただし、運用上の信用は、これまでの事故で、かなり信用が毀損されています)であって、貨幣としての信用が語られることはありません。

 貨幣にとって一番大切な信用とは、『「今日のパンの値段」と「明日のパンの値段」が同じである』を担保することです。これは簡単に説明できます。

 (今の1BTCは、法定通貨で120万円くらいなので、0.0001BTC=120円と考えて)、今日、0.0001BTCで購入できるパンが、明日はその2倍になるとしたら、

(1)パンを買う人は、今日中にパンを買う
(2)パンを売る人は、今日は休業して、明日パンを売る

となります。

 逆に、明日、パンの価格が半分になるとしたら、

(1)パンを買う人は、今日はパンを買わずに、明日買う
(2)パンを売る人は、今日は営業するが、明日は休業する

となってしまいます。

 言うまでもないですが、こんな不安定な通貨を使っている国家の経済は、簡単に破綻します。

 今回は見送りますが、実はビットコインって、ほとんど市場に流通していません(私には、かなりショッキングな事実でした)。皆さんの周りで、ビットコインで決済できる店舗、ありますか? 私、この連載を始めてから、かなり注意深く見ているのですけど、一店舗も見つけられていません(試しにネットで調べてみてください。がく然とすると思います)。

 まあ、それはさておき、私の言っている信用とは、「技術的な安全性としての信用」ではなく、「みんなが使ってみたい気持ちになれる通貨としての信用」のことです。

ビットコインの“信用”を探し求めて

 「歴史」でも「仕組み」でも分からなかったので、仕方がありません。私は、「みんなが使ってみたい気持ちになれる通貨としての信用」を求めて、泥臭い地道な調査を開始することにしました。

 大きな書店の中にある、ビットコイン、仮想通貨に関係する本が集っているコーナを写真で取ったものです。私、この本の全てに目を通しました(本屋には大変迷惑な客だったと思いますが)。そして、ビットコインの「通貨としての信用」に言及している本は ―― 嘘偽りなく「1冊だけ」でした。


本棚の前でウロウロする江端

 Google Scholarを使って、“ビットコイン”&”信用” & ”創成”で、検索をかけたところ、15件がヒットしました。そして、私と同じような疑問に至っている論文を多数発見しました。

 さらに、Google Searchで検索してみたところ3万件ほどヒットしたので、上位100件に全部目を通しました。その結果、それらのほとんどが、「通貨としてのビットコイン」に否定的、または、懐疑的な記述であることを知り、正直ショックを受けました。

 現時点での暫定的な私なりの結論は、

――現時点のビットコインは「通貨」として使用できる状態にない

です。



 ちなみに、私はビットコインをおとしめたい訳ではありません。逆です。私は、ビットコインなどの仮想通貨を、上手く生活の中に取り込んで、早いところ日常的に使い倒したいのです

 理由は2つあります。

(1)町内会の集金作業をするのに、町内を歩き回って、各世帯を訪問するような、気の重い、うっとうしい作業をとっとと止めて、パソコンやスマホから簡単に集金/送金できるようにしたい
(2)コンテンツを作成してくれた方に御礼に、Amazonギフトカードを送付するというような、Amazonサービスの利用者であることが前提である手段を使うのは嫌だ

 「メールに電子ファイルを添付する程度のノリで、送金/集金したい」 ―― 本当に、私の希望は、本当にこれだけのことであり、これだけのことができない現状に、イライラしています。

 ちなみに上記(1)(2)に関しては、町内会のWebサイトを作っていた時に、クレジットカードを使った年会費集金システムを検討したことがあったのですが、クレジットカードのシステム使用料の高額さにがく然として、断念したことがあります(PCの前で「ふざけるな!」と叫んだ記憶があります)。

 さて、ここからは、かなり本気のお願いなのですが ―― ツイートで、私のこのコラムに「勉強不足」とディスるメッセージを書き込む時間があるなら、私に「教育」を施してください。私は、自分が納得できる”論”や”証拠”に出会いさえすれば、”3秒”で自分の主張を180度引っくり返すことができるように作り上げられた研究員&エンジニアです。

 今回の調査では、私は見つけることができませんでしたが、ビットコインの「貨幣としての信用」について、肯定的で、ロジカルに説明された(×観念的、×思い込み、×希望的観測、×根拠のない未来、×エビデンスがない、×エビデンスにたどりつけない)書籍、論文、その他資料、あるいは自説(ただし”証拠”に基づく”論”として成立しているものに限る)があれば、ぜひ、私に紹介してください。連絡先はこちらをご利用ください→”blockchain_20201122@kobore.net”。

 頂いたメールは、個人情報を完全に抹消した上で、一文字も改ざんせずに、メール全文を本連載で公開することをお約束致します。ご安心ください*)

*)公開例としては、こちらが参考になると思います。

 特に、数式で記載されたものでご紹介頂ければ、直ちにコーディングしてPCでシミュレーションを実施します。大好物です*)

*)「大統領選、連続1万回シミュレーション」とか「1/100秒単位の飛び込み自殺シミュレーション」のようなものになると思います。

 個人的な感情であることは分かっているのですが ―― ビットコインを「投機目的として勧めるような入門書」を読んでいると、私は、非常にムカムカしてくるのです。

 閑話休題。

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