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2020年の製品のシリコンは“ほぼ自前”、Appleの開発力この10年で起こったこと、次の10年で起こること(48)(1/3 ページ)

2020年は大型商品の発売が相次いだ。特にApple製品は、“自前のシリコン”搭載が目立ち、Appleの開発力を表すものとなっている。

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大型商品の発売が相次いだ2020年


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 例年、9月から11月はわれわれ調査会社にとっては多忙を極める時期になる。多くのメーカーがクリスマス商戦に合わせてイヤーモデル、いわゆる新製品を続々と発売するからだ。それらをできるだけ多く入手するために、国内外の販路を通じて毎日のように製品を手配している。

 弊社は、目当ての製品のほぼ全てについて発売当日に入手する。入手した製品は、実際に使うもの(大抵は2個以上購入する)、分解を経てシステムや半導体チップの解析を行うものという2つのルートに分かれる。

 2020年後半は特に、大型商品の登場が相次いだ。ゲームプラットフォームとしてはソニーの「PlayStation5(PS5)」、Microsoftの「Xbox Series X」と「Xbox Series S」。グラフィックプロセッサもNVIDIAの「RTX3080/3090」、AMDの「RX6800」などが登場した。いずれも2020年代という新たな10年の幕開けにふさわしい“ド級スペック”を持った面々である。ブラックボックス化せず、半導体の顔(すなわちチップ)を見て、大きな流れ、変化を判断していきたい。他にもネットワークサーバ、基地局、車載製品などの多くの分解、解析を日々行っており、気付き、驚きの連続であるが、やはり2020年の大きな転換点となったのはApple製品だろう。

 半導体はおおよそ2年に一回、微細化を続けてきた。微細化のたびにXY軸ともに約7〜8割に縮小され面積が半分程度になった。面積半減を利用して機能を倍にすることで性能進化を実現したわけだ。

 一方で従来機能は、面積が半分になるので内部で行き交う配線長は半分になる。その分の充放電電力が削減され、同時にスイッチングも速くなる。速くなって、電力も減る。このように、微細化による恩恵は大きい。だが、設計、製造ともに課題も増え続ける。ノイズに電源……機能だけでなく特性をいかに作りこむか、設計力も検証する仕組みも、以前よりはるかに重要なものになっている。

 2020年末、2つのメーカーが5nm(従来は7nm)という最先端の製造プロセスを用いたプロセッサを搭載した製品をリリースした。1社はApple、もう1社は中国Huaweiだ。前者は既に多くの製品群が世界中で広く販売されている。後者は、Huaweiの最新スマートフォン「Mate 40 Pro」に採用されている。

 弊社は両製品とも入手済みで、今まさに解析の真っただ中にある。

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