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NXP、拡張性を備えた第5世代レーダー製品群を発表異なるシステムを柔軟に構築(1/2 ページ)

NXP Semiconductors(以下、NXP)は2020年12月7日(オランダ時間)、自動車向けに、新しいトランシーバーとプロセッサから成るレーダーセンサーソリューションを発表した。自動車の四方を検知する、コスト重視のNCAP対応コーナーレーダーから、高精度環境マッピングなどを実現できるハイエンドの4Dイメージングレーダーまで対応できる、拡張性を実現した製品となっている。

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コーナーレーダーからイメージングレーダーまで構築可能に

 NXP Semiconductors(以下、NXP)は2020年12月7日(オランダ時間)、自動車向けに、新しいトランシーバーとプロセッサから成るレーダーセンサーソリューションを発表した。NXPにとって第5世代の車載向けレーダーセンサーソリューションとなる。自動車の四方を検知する、コスト重視のNCAP対応コーナーレーダーから、高精度環境マッピングなどを実現できるハイエンドの4Dイメージングレーダーまで対応できる、拡張性を実現した製品となっている。

 今回発表したレーダーセンサーソリューションは、NXPの第2世代RFCMOS車載レーダートランシーバーファミリー「TEF82xx」と、レーダー信号処理に特化したプロセッサ「S32R45」「S32R294」で構成される。


新製品のトランシーバーファミリー「TEF82xx」と、レーダー信号処理に特化したプロセッサ「S32R45」「S32R294」 出典:NXPジャパン(クリックで拡大)

 TEF82xxは76G〜81GHz帯をサポートし、最大4GHzの帯域幅を使用できる。出力は13.5dBm、ノイズフロアは11.5dB。前世代品(「TEF81xx」)に比べてRF性能が2倍になっている。パッケージサイズは7.5mm角で、送信3チャンネルと受信4チャンネルを備える。レーダーの性能に合わせて最大4個までカスケードすることが可能だ。ASIL Bに準拠する。

 S32R45は、クアッドコアの「Arm Cortex-A53」とトリプルコアの「Arm Cortex-M7」を搭載したプロセッサで、4Dイメージングレーダーの用途に向ける。「リニア・アルジェブラ・アクセラレーター(LAX)」と呼ばれる、行列演算を高速に行うアクセラレーターを搭載していて、非常に高い分解能の到着方向(DoA)アルゴリズム実行が可能になる。ASIL B(D)に準拠。

 S32R294は、Power Architectureベースのプロセッサで、一般的にコスト効率が高いといわれるNCAP対応のコーナーレーダーに向けた製品。前世代の「S32R274」に比べ、コード互換性を維持しつつ、2分の1の消費電力と最大2倍の性能を実現した。ASIL B(D)に準拠している。

 TEF82xxとS32R45あるいはS32R294を組み合わせることで、NCAP対応のコーナーレーダー、ロングレンジのフロントレーダー、4Dイメージングレーダーを容易に実現できる。コーナーレーダーはTEF82xxとS32R294、フロントレーダーは、2個カスケードしたTEF82xxとS32R294、4Dイメージングレーダーであれば4個カスケードしたTEF82xxとS32R45のように構成する。


TEF82xxをカスケードすることで、ローエンドからハイエンドのレーダーまで構成できるスケーラビリティを備えている。カスケードや、プロセッサをS32R294からS32R45に変えることで、レーダーの信号処理能力や、リアルタイム処理性能なども上がっていく 出典:NXP(クリックで拡大)

 NXPジャパンで第一事業本部 マーケティング統括部 統括部長を務める園田慎介氏は、「大きな差異化ポイントは、S32R45は、4個カスケードしたトランシーバーICを直接駆動できるプロセッサであるということだ」と説明する。4Dイメージングレーダーでは、煩雑な信号処理を伴うため、FPGAを使うことが一般的になっている。「だが、高度に最適化したレーダープロセッサであるS32R45を使うことで、FPGAよりも実装コストと消費電力を抑えられる」(園田氏)。コーナーレーダーを構成する時と同じS32Rファミリーのプロセッサを使えるので、ソフトウェアも最大限、再利用できることになる。

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