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5nmプロセッサで双璧を成すApple「A14」とHuawei「Kirin 9000」製品分解で探るアジアの新トレンド(49)(1/3 ページ)

今回は、5nmチップが搭載されたHuaweiのフラグシップスマートフォン「Huawei Mate 40 Pro」の分解結果をお届けする。同じ5nmチップであるAppleの「A14 BIONIC」とも比較する。

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5nmを適用したプロセッサ

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 2021年1月現在、量産されている半導体の最先端プロセスは5nm(1nm = 100万分の1mm)である。2020年10月にAppleから発売された「iPhone 12」シリーズや「iPad Air」に採用された「A14 BIONIC」、2020年11月にAppleから発売されたMacシリーズに採用されている「Apple Silicon M1」が5nmで製造されたチップとなっている。

 5nmは従来最先端であった7nmに比べて単位面積当たりの集積密度が1.6倍強向上し、同じ面積に多くの回路や機能を搭載できるようになっている。Appleと同時に中国Huaweiからも5nmプロセッサを搭載したフラグシップスマートフォン「Huawei Mate 40 Pro」(以下、Mate 40 Pro)が発売されたので取り上げたい。

 図1は、2020年10月に発売されたMate 40 Proである。左から梱包箱、背面カバーを取り外した様子、非接触充電用のコイルとNFC通信用のアンテナなどを取り外した様子となっている。非常に緻密にできているので分解はなかなかてこずった。


図1:「Huawei Mate 40 Pro」の梱包箱と、背面カバーやコイル/アンテナを取り外した様子 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 米中問題のターゲットとなり、さまざまな規制対象となっているHuaweiとHiSilicon(Huawei傘下の半導体メーカー)は2020年9月以降、半導体製造のトップメーカーである台湾TSMCから最先端プロセスチップの提供を受けられなくなっている。今回報告するMate 40 Proは2020年9月以前に製造されたチップで構成されているわけだ。米中問題がどのようになっていくかは今後も注視していく最大のポイントだろう。

 Mate 40 Proの内部は上部がカメラとコンピュータ基板、中央部が電池、下部はスピーカーや端子となっている。

 図2は内部の基板とカメラの様子である。カメラはアウトカメラが3眼、インカメラが2眼。アウトカメラは50MP(メガピクセル)のワイド、20MPのウルトラワイド、12MPの光学式望遠となっている。インカメラは13MPと3D-TOF。ドイツのLeica(ライカ)と共同開発したカメラで性能も画質も極めて高い。内部の基板はほぼ正方形。カメラユニットが装着される部分がくり抜かれた形状である。


図2:Mate 40 Proのメイン基板およびカメラ 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 基板の3カ所は図2の左のように2層基板構造となっている。AppleやSamsung Electronicsらが使うスペーサーを介した2層基板の構造ではなく、基板同士が直接重なっているという特徴がある。1階基板にはプロセッサやセンサーなどが配置され、2階には5G(第5世代移動通信)通信用のパワーアンプやフィルター、アンテナスイッチなどの通信部品が配置されている。また小さい2階基板にはディスプレイや外部アンテナに接続するための端子が設置されている。基板の反対面にはプロセッサやメモリが配置され、機能ごとに金属で覆われシールド対策されている。図2の最右図は金属シールドを取り外した様子である。

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