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光トランシーバーForm Factorの新動向(5) 〜ハイパースケールデータセンターの光インタフェース光伝送技術を知る(16) 光トランシーバー徹底解説(10)(2/3 ページ)

今回は、光インタフェースについて、ビット速度や多重波長数、光伝送路数といった観点で解説する。

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光インタフェース

 光インタフェースはEthernet規格が中心である。市場では、Ethernet光トランシーバーの数量が他の応用に比べて桁違いに大きいため、他の応用における規格もEthernet製品を使用できるように決められることが多い。Ethernetの仕様は、IEEE 802.3において規格化が行われてきた。しかし、最近の光インタフェース物理層の仕様はMulti-Source Agreement(MSA)規格が中心となっている。100GではCWDM4あるいはCLR、400Gでは100GLambda MSA仕様(ただし、IEEE802.3で採用)が主流だ。

 ここで問題となっているのが、優れた光特性を持つIII-V族化合物半導体のDML/EML(Direct Modulation Laser/External Modulator with Laser)と、将来技術とされるSi-photonicsの両方で達成でき、相互接続できる規格を作ることである。

 少なくとも800GではFP Pluggableが実現可能だと考えられており、QSFP-DD800 MSAでForm Factorの規格も進められている。Ethernet規格はEthernet Technology Consortium(ETC)で、光インタフェース規格は800G Pluggable MSAで議論されていて、今後のIEEEでの規格に反映される。

 CPOの仕様としては1.6T以降をターゲットとすることになる。Co-packaged Optics Collaborationのガイドラインでは第1世代として51.2TのスイッチICでの適用を目指しており、その交換パケット速度は1.6Tになるとされている。ガイドラインにはIEEE802.3の規格である400G-FR4と400G-DR4を使用すると記述されている。これは現在の規格を引用しただけで、今後のIEEE802.3で展開されるであろうBeyond 400Gの規格によって変わる可能性がある。

 さまざまな変革を目の当たりにしたが、2000年代に立ち上がった10G、2010年代に立ち上がった100G、そして2020年代の1T(1,000G)という“10倍則”の系列が分かりやすい。1TでCPO向けの新しい規格を標準化することも一つの可能性があると考えている。

 データセンターなど短距離で使用される光インタフェースは、低価格に加え小型軽量、低消費電力、大容量、強靭性などが要求されるため、Intensity Modulation/Direct Detection(IM/DD、強度変調/直接検波)方式が採用される。

 図3に示すように、光伝送の情報容量は、1波長のビット速度(Bit Rate)×波長数×光伝送路数で計算できる。CPOで話題となっている400G-FR4は、100Gbit/s × 4波長 × 1ファイバー(光伝送路)、400G-DR4は100Gbit/s × 1波長 × 4ファイバーである。


図3 光伝送の情報容量と400Gの規格例

 Form Factorで問題となるのはファイバー数だ。例えば上記の400G-DR4を用いた6.4Tの光トランシーバーでは、送受信号に128本のファイバーがモジュールに接続される。これは実装上も経済的にも現実的ではない。しかし、400G-FR4を用いればファイバー数は32本となり達成可能である。つまり、ビット速度を上げ、波長数を増やして伝送路数を減らすとともに、伝送路も工夫することで実現可能な解が求められる。一方、先に述べたHigh Radix Switchを考慮すると、16×100Gと32ファイバーで実現できる1.6Tの光インタフェースモジュールが適当な分割となる。今後のデータセンターの動向に合わせた構成が採用されるだろう。

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