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NVIDIAのArm買収、大手3社が反対を表明かBloombergが報じる(1/2 ページ)

2021年2月12日夜遅く(米国時間)に報じられたところによると、NVIDIAによるArmへの400億米ドルでの買収提案に対し、大手技術メーカー3社が反対を表明したという。この買収は、過去最大規模となる極めて重要な技術取引の1つであり、クラウドからエッジに至るまで幅広い影響を及ぼすとされている。

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 2021年2月12日夜遅く(米国時間)に報じられたところによると、NVIDIAによるArmへの400億米ドルでの買収提案に対し、大手技術メーカー3社が反対を表明したという。この買収は、過去最大規模となる極めて重要な技術取引の1つであり、クラウドからエッジに至るまで幅広い影響を及ぼすとされている。

 ここで、「報じられたところによると」という表現に注目してほしい。


NVIDIA CEOのJensen Huang氏

 NVIDIAのCEO(最高経営責任者)であるJensen Huang氏は、今から5カ月前となる2020年9月に、「NVIDIAのAI(人工知能)技術と、広く普及しているArmのプラットフォームとを組み合わせる可能性がある」と大々的に語っていた。この取引に関しては、エコシステム全体として批判する声は上がっていたが、大手技術メーカーの経営幹部が公に反対の意を示したことは一度もなかった。

 当初は、誰もが非常に驚いたのではないだろうか。業界の内部者たちが個人的に語っていた破滅へのシナリオでは、競争や価格設定、イノベーションなど、広範囲にわたって悪影響が及び、重要なエレクトロニクス製品のコストが高くなるだけでなく、安全性も低下する可能性があるとされていたためだ。

 しかし、何よりも重要なのは、筆者がここ数カ月の間に話をした経営幹部たちが、「最も恐れているのは、もし自分たちがNVIDIAの買収に反対して、それでも最終的になんとか取引が実現した場合、NVIDIAから報復を受けるのではないかということだ」と述べていたことだ。これらのインタビューは全て、記録に残しておらず、また表立った場所では行っていない。

 経営幹部たちは、さまざまな懸念の中にもメリットがあるかどうかについては考慮することなく、その不適切な影響や、NVIDIAが買収によって得るとみられる権力について強調していた。

NVIDIAにとってのメリットは

 こうしたことから、FTC(米連邦取引委員会)はHuang氏に対し、「Armの技術に関しては、他の企業と同じようにライセンス供与を受けることが可能であるのに、なぜ400億米ドルもの資金を投じて買収する必要があると考えるのか」という点について、より詳細な説明を求める必要がある。実際のところ、NVIDIAは他社と同様にライセンス供与を受けているのだ。

 NVIDIAは、1社の半導体メーカーに対する支払い額としては過去最高となる法外な価格を、どのように正当化するのだろうか。確かにNVIDIAは、その大半を株式で支払うのだろう。それでも、少なくとも120億米ドルは現金で支払う必要がある。同社がArmのライセンスやロイヤリティーを獲得するための大金をどのように支払うのか、推測することは非常に難しい。

 NVIDIAがROI(Return On Investment:投資利益率)を確保するためには、Armの開発/ライセンス方針の方向性を変えることで、独自の利益を最大化する必要があるだろう。「NVIDIAは、自社のデータセンター製品向けとして何百万米ドルもの資金を集めたり、ロイヤリティー1件につき8米ドルを得られるのではないか」とする見方があるかもしれない。しかし、Armの期待する新しい所有者が、収益性を上げるために進むべき道は、「自社独自のデータセンター設計を最優先すること」であるのは明らかだ。

 もしNVIDIAが、リソースの方向をデータセンターへと変えるのであれば、スマートフォンや自動車、IoT(モノのインターネット)などのあらゆる分野におけるイノベーションの速度が押さえつけられる可能性がある。また、セキュリティ強化は必然的に低迷し、プラットフォームも不正侵入に対する脆弱性が深刻化するだろう。

 もしこのような事態が発生したら、エコシステムはどのように回復するのだろうか。サプライヤーは、一斉に他のアーキテクチャに移ることはできない。もしそれができたとしても、そのアプリケーション向けにArmの性能やセキュリティを調整するのに10年以上の期間を要することになる。また、成熟した開発者エコシステムや、Arm向けに最適化されたアプリケーションの設置基盤などに関しては、言うまでもないだろう。

 一方、他の分野においてイノベーションが失速すると、Armの新しい所有者は、より多くのワークロードをデータセンターに移行することによって、これまで以上の価値や利益をエッジから吸い取ろうと考えるだろう。

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