Xilinx、データセンター向け新製品などを発表:「高速化」と「効率化」を実現(1/2 ページ)
Xilinxは2021年2月23日(米国時間)、データセンターにおける「高速化」と「効率化」を実現するための新たな製品とソリューションを発表した。
100Gビット/秒対応のSmart NIC
Xilinxは2021年2月23日(米国時間)、データセンターにおける「高速化」と「効率化」を実現するための新たな製品とソリューションを発表した。Smart NIC(Network Interface Card)「Alveo SN1000」や、「AIビデオ分析向けプラットフォーム」「高速アルゴリズム取引レファレンスデザイン」および「Xilinxアプリストア」である。
データセンターは、さまざまな課題に直面しているという。その1つがリアルタイム性能である。これを実現するため、ネットワークやセキュリティ、ストレージといった領域では、CPUの負荷を分散するオフロードの機能が不可欠となっている。特に、負荷の高いパケット処理をサーバのCPUから切り離し、オフロードするためのNICは、イーサネットの通信速度が最大100Gビット/秒レベルになると、ASICをベースとした従来型のオフロードNICでは対応できなかったという。
Xilinxデータセンターグループでネットワークおよびストレージ製品担当ディレクターを務めるKartik Srinivasan氏は、「クラウド事業者は、Smart NICに性能と適応性の両方を求めている。再構成可能なAlveo SN1000は、ベンダーや顧客がシステムに応じてカスタマイズすることができ、あらゆる機能のオフロードに対応することができる」と話す。
Alveo SN1000は、16コア内蔵Armプロセッサと16nm UltraScale+アーキテクチャをベースとしたFPGA「XCU26」を搭載しており、ソフトウェア定義のハードウェアアクセラレーションを可能とした。また、Xilinが提供する標準モジュールを外し、ユーザー自身で開発したバーチャルスイッチに入れ替えるなど、カスタマイズすることも可能である。
この他、制御プレーンとデータプレーンが分離されたヘテロジニアスアーキテクチャの採用や、ラインレートで動作する特定アプリケーション向けデータパスの構築など、多くの特長を持つ。また、統合ソフトウェアプラットフォーム「Vitis」を利用してP4やC、C++といった言語でプログラミングすることができる。
XilinxはNICファミリーとしてこれまで、10/25/10Gビット/秒対応のオフロードNIC「X2」や、25Gビット/秒対応のSmart NIC「U25」を供給してきた。最上位モデルとなるSN1000は、ネットワーク/セキュリティ/ストレージアプリケーションに向けた100Gビット/秒対応のSmart NICである。第一弾の「SN1022」は、2021年3月末にリリースする予定である。
100ミリ秒未満のパイプラインレイテンシを実現
患者モニタリングや事故警告、産業安全など、人間の生活や健康、資産などを守るためのクリティカルなAIビデオ分析アプリケーションは、複雑さを増しており、遅延時間(レイテンシ)を短くすることが難しくなっている。従来手法で、より高い性能を実現しようとすれば、消費電力やハードウェアコストが増大するという。
Xilinxが提供するAIビデオ分析向けプラットフォームは、パートナーのエコシステムが提供するソリューションを活用することで、「スマートシティー」「スマートリテール」「スマートヘルスケア」「スマートビル」といった「smart world」の構築を可能とする。
同社のアクセラレーターカード「Alveo」上で、複数のニューラルネットワークに対応することができ、100ミリ秒未満のパイプラインレイテンシを実現する。しかも、業界で最も低いTCO(総保有コスト)を実現できるという。
Xilinxデータセンターグループでアウトバウンドマーケティング担当ディレクターを務めるEd Wright氏は、低遅延の推論を要求する市場について、4つの事例を挙げて紹介した。例えば、2019年の米国における労働災害コストは1710億米ドルで、1億500万日分の労働力が失われた。また、小売業の棚卸し減耗による損失は、全世界で2020年は1000億米ドルに上るという。
これらの課題を解決できるのがAIビデオ分析向けプラットフォームである。Ed Wright氏は、32台のカメラを用いたビデオ分析について、「OPEX(スペース、消費電力)とCAPEX(ハードウェアコスト)」および、「レイテンシ」において、Alveoベースのシステムと、Nvidia製「T4」ベースのシステムを比較し、その優位性を示した。
Xilinxのソリューションは、Alveo2個(U30+U50)とサーバ1台を用いるのに対し、NvidiaのソリューションはT4を4個、サーバも2台必要となる。この結果、Xilinxのソリューションが約29%もTCOを削減できるという。エンドツーエンドのレイテンシでも、Xilinxのソリューションが71%も高速化できることが分かった。
AIビデオ分析向けソリューションの代表的なエコシステムも紹介した。Mipsologyは、GPU向けに開発された既存のAIアプリケーションをAlveoに移行するツールを提供する。Auperaは、スマートシティーやスマートビルディングにおける大規模な監視/管理などをターンキーで実現できるビデオAIソリューションを提案している。DeepAIは、Alveoアクセラレーターを用いたエッジAIトレーニングを提供。GPUベースのソリューションに比べ最大10倍の価格性能比を達成したという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.