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凸版印刷、新たな構造のフレキシブルTFTを開発:曲率半径1mmで100万回の屈曲
凸版印刷は、曲率半径1mmで100万回の屈曲を可能とし、キャリア移動度も10cm2/Vs以上を達成したフレキシブルTFT(薄膜トランジスタ)を開発した。フレキシブルセンサーとしての実用化を目指す。
高可撓性と高耐久性、高キャリア移動度を実現
凸版印刷は2021年3月、曲率半径1mmで100万回の屈曲を可能とし、キャリア移動度も10cm2/Vs以上を達成したフレキシブルTFT(薄膜トランジスタ)を開発したと発表した。フレキシブルセンサーとしての実用化を目指す。
折りたたみ可能なスマートフォンやウェアラブル機器などの登場により、曲げやたわみなどに強く、薄型で軽量のフレキシブルエレクトロニクスデバイスが注目されている。例えば、有機TFTも期待される技術の1つだが、無機TFTに比べるとキャリア移動度が低く、信頼性や耐久性に劣るなど、民生機器などに搭載するには課題もあったという。
凸版印刷は今回、独自の成膜技術や印刷技術、フィルムハンドリングの技術を用い、全く新しい構造のフレキシブルTFTを開発することに成功した。曲率半径1mmで100万回の屈曲試験を行った結果、キャリア移動度などの特性に変化はなかった。
開発したフレキシブルTFTは、シャープペンシルの芯にも巻き付けられる可とう性と、フレキシブルプリント回路基板並みの耐久性を実現しつつ、アモルファスシリコンTFTの10倍以上というキャリア移動度を達成したという。
同社は今後、製造技術の開発や特性のさらなる向上に取り組む。そして、開発した技術とセンシング部材を組み合わせた、フレキシブルセンサーの実現を目指す。
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