【付録】あの医師がもっと伝えておきたい“9個の補足”:世界を「数字」で回してみよう(67)番外編(6/9 ページ)
あの“轢断のシバタ”医師が、コロナワクチンについて伝えておきたい7つのこと。本稿は、その付録となります。
以下からは、2021年3月11日に追加した付録です。
(付録F)国力(公衆衛生力)の差は命に直結する。
アフリカでは、南アフリカ共和国を除いてCOVID-19の影響についての調査が手薄で、国際的なニュースに具体的な数字がほとんど出ないそうです。
そこに目をつけたアメリカの大学が、アフリカでのCOVID-19の広がりを知るために調査を行いました。
方法は単純で、ザンビア共和国のある都市の死亡者全員に、PCR検査を実施したのです。
結果は衝撃的でした。サーベイランス期間(約3.5カ月)の死者の約2割がCOVID-19による死亡だったそうです。
ということは、ざっくり「超過死亡25%増し」です。日本で超過死亡25%増しを計算すれば、年間死亡数137万人×0.25≒1年の死者が34万人増加するという数字です。1日当たりに換算すると死亡者数930人です。しかもその死亡例の年齢中央値は48歳、なんと66%が20〜59歳だったそうです。
先進国では死亡者数のうち50歳未満の割合が非常に低いのに対して、発展途上国ではコロナは若者も殺すのです。
なんとなく予想はできても、実態がここまで衝撃の数字となるとは思いもしませんでした。『見えていない』からといって『存在していない』わけではないという典型的な例ではないでしょうか。
これは比較的小規模なパイロットスタディー的な報告ですが、今後、徐々に発展途上国での感染の影響が明らかになり、ワクチン供給の国家間アンバランスがもたらす命の格差が国際的な関心事になる……はずです。
いや、さすがに話題にならないのは無理があります。もしくは先進国にワクチンが十分供給されるまであえてニュースに取り上げないなんてことは……ない、ですよね?
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