【付録】あの医師がもっと伝えておきたい“9個の補足”:世界を「数字」で回してみよう(67)番外編(7/9 ページ)
あの“轢断のシバタ”医師が、コロナワクチンについて伝えておきたい7つのこと。本稿は、その付録となります。
(付録G)「風邪がぶり返す」なら「コロナもぶり返す」ことがある??
「風邪がぶり返す」という表現があります。これは、風邪が治ってしばらくした後に、また風邪症状に見舞われることを指します。
しかし、実はこのぶり返すという現象については、定義が曖昧です。(A)同じ風邪が再燃するのか、もしくは(B)免疫が下がったところに違うウイルスに感染するのか。
「抗体ができるのだから、同じ風邪じゃなくて違うウイルスに感染しただけだろう」という意見のほうが世間では優性ですが、個人的には「同じウイルスが治りきらない場合もあるんじゃないかな?」と感じています。
さて、COVID-19罹患後しばらくしての発熱は、ただの風邪として検査しなくても本当に大丈夫なのでしょうか?それともウイルスが再び増殖して症状を再燃させることがありうるのでしょうか?
1年たって、さまざまな報告が出そろってきて、調べれば大概のことが具体例として数字が出てくる時期になってきました。
COVID-19は同じウイルスによる「ぶり返し現象」がどうやら少なくない頻度で起こりうるようです(参考)。
1146例のCOVID-19患者を診たイタリアの医師の経験がまとめられています。これによると、なんと10.9%にあたる125人(平均年齢65.7歳)が2回のPCR検査陰性を確認した後に、再びPCRが陽性化したとされています。125人のうち、76.8%にあたる96人はサーベイランス検査により無症状で発覚し、残りの29人は症状がぶり返したため調べたらPCRが陽性だったそうです。
ぶり返すまでの期間は平均で19.9日。一度感染した後だから抗体があるハズと思いきや、ぶり返した人の9%近くが亡くなるという結果が出ています。ただ、この数字については亡くなった方の平均年齢が86.4歳ということを考えると、1回目の感染時の死亡率と比較して特段に高いとも言えないかもしれません。
もちろん、この報告には限界もあって、
- 本当に同じコロナウイルスなのか、
- もしくは変異ウイルスにかかり直したのか、
- 本当に陰性化していたのか、
- 偽陰性で退院させてしまったのではないか、
- 再検査で陽性になるまでの間、感染性のあるウイルスをまき散らしていたのか、それとも抗体のおかげでウイルス排出量自体は少なかったのだろうか、
などなど、分からないこともまだたくさんあります。
一つ言えることは、コロナから回復した若者がコロナをぶり返さないとも、再感染はしないとも断言はできないということです。
ワクチン接種者が感染を阻止する効果や不顕性感染を減らす効果については検討不可であるのと似ていますが、既感染者やワクチン接種者が「いち抜け」して(つまり「安心して」)基本的感染防御を怠ると、あっという間にRtが上昇します。
65歳以上できれば50歳以上の希望者全員にワクチン接種が完了するまでは、基本的感染防御の徹底をお願いしたいと思います。
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