【那珂工場火災】ルネサス、1カ月以内の生産再開に向け順調ぶりを強調:代替生産も進め6月半ばには火災前上回る出荷水準へ(1/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2021年3月30日、3月19日に発生した火災により生産を停止している那珂工場300mmウエハーライン(N3棟)の復旧作業の進み具合などを説明する会見をオンラインで実施し、火災から1カ月以内の生産再開に向け、順調に復旧作業が進んでいることを強調した。
ルネサス エレクトロニクスは2021年3月30日、3月19日に発生した火災により生産を停止している那珂工場300mmウエハーライン(N3棟)の復旧作業の進み具合などを説明する会見をオンラインで実施し、火災から1カ月以内の生産再開に向け、順調に復旧作業が進んでいることを強調した。
那珂工場N3棟では、2021年3月19日午前3時前に火災が発生。2階建てのN3棟のうち、1階部分1万2000m2の5%に相当する約600m2のクリーンルームを焼損。3月21日には、火災に関する会見を開いて、11台の製造装置の焼損を確認したことや、1カ月以内での生産再開に向け全力を挙げて取り組むことを明らかにしていた(関連記事:ルネサス那珂工場火災、「大変厳しい状況だが、1カ月以内の生産再開へ全力」)。
30日に開いた会見で、社長兼CEOを務める柴田英利氏は「クリーンルーム自体の再開は順調に(作業が)進んでいる。1カ月以内の生産再開の達成確度は(21日会見時よりも)大きく高まっている」と述べた。
当初2週間程度の作業時間を見込んでいたクリーンルームのハリの補強は3日間で終了した他、クリーンルーム内に付着した火災に伴う煤(すす)の洗浄なども順調に進んでいるという。また、火災後確認を進めていた仕掛かり品については、火災時にフル稼働で製造途中にあったものの4分の3については損傷がなく、製造を継続できることが判明したという。
新たに12台の製造装置で再調達が必要に
製造装置については1階クリーンルームの90%の製造装置で動作確認を完了。焼損した11台に加え、新たに12台が火災に伴う煤や火災に伴い発生した塩素ガスなどの化学物質による汚染で、使用できないことも判明した。今後、火災前の出荷水準に戻る完全復旧に向けてはこれら装置の再調達次第となるが、再調達が必要な装置の約半数で4月中の調達めどが付いているという。那珂工場にある2台全てが再配線工程に使用するCuメッキ装置については、最も再調達に時間を要し、現状6月中の調達を見込んでいる。ただし、「日々、1日でも早く装置を納入いただけるよう調整している。そこまで悲観しておらず、比較的早い時期に全て(の装置が)そろうと考えている。(火災発生後)1カ月から、それほど遠くない時期に、(一部装置を除いて再調達を終え)100%に限りなく近い状況にまで復帰できる」との見通しを述べた。
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