ゲーム機は先端半導体の宝庫! 「PS5」「Xbox」のチップを比較する:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(51)(2/3 ページ)
ソニーとMicrosoftは2020年11月に、おのおの新型の据え置きゲーム機を発売した。テカナリエは2機種(正確には4機種を12月には入手して分解、チップ開封などを行い、解析レポートを発行済である)を早々に入手し、分解した。
3機種のプロセッサを比較
表1は、MicrosoftのXbox Series S、Series XとソニーのPlayStation5に搭載されたプロセッサの比較である。
左からパッケージ、チップ開封後の配線層剥離(内部のトランジスタ部が分かるもの)、シリコン上に搭載されるメタル配線層で書き込まれた文字情報である。サービスでシリコン面積もおおむねのサイズを掲載した。3つのプロセッサともにTSMCの7nmプロセスで製造され、「AMD 2019」のロゴが載っている。ほぼ同じ時期に開発されたものであるわけだ。サイズは、200mm2、300mm2、360mm2と、まるで松竹梅(High/Middle/Low)の分布になっている。
3チップの共通項目は、DRAMがGDDR6、CPUがAMDの「Zen 2」(FPU[Floating Point Unit]に若干のデグレードあり)、GPUはAMDの「RDNA2」がベースになっていることである。GPUのコア数は3チップとも異なっており、これがチップ面積の差に直結しているわけだ。Xbox Series SではGPUコアは20個、Series Xでは56個、PlayStation5では40個となっている。各プロセッサと接続されるGDDR6の容量にも差がある。Xbox Series Sでは10GB、他の2機種は16GBとなっている。これらが演算性能に直結している!
表2は、3機種のSouthbridge、あるいはSSDコントローラーチップの様子である。XboxではMicrosoftのネームが、PlayStation5ではソニーのネームがパッケージに搭載されている。しかし実際にチップを開封してみると、全てのチップは委託開発のものであることが判明した。XboxではSeries S、SeriesXともにSouthbridgeは共通のものとなっており、韓国Samsung Electronics製であった。PCIe(PCI Express)やUSBなどの接続をコントロールするものとなっている。
PlayStation5はメインの基板上にSSDコントローラーとNAND型フラッシュメモリが実装されており、高速なメモリ読み書きができるものになっている。SSDコントローラーはソニーのネームがあるチップだが開封してみると、米Marvellのものであることが判明した。Marvellはハイエンド高速SSDのコントローラーのトップメーカーなので、カスタム流用したものなのだろう。
PlayStationのSouthbridgeはセカンダリープロセッサと呼ばれており、各種I/Oの制御やシステム全体の管理を行うものである。こちらもパッケージはソニーのネームだが、チップを開封すると内部は台湾MediaTek製であることが明らかになった。PlayStation5で使われるチップには2018年、2019年の年号情報が搭載されており、PlayStation5のために開発された新しいチップであると思われる。一方Xboxのチップは、2017年のMicrosoftのゲーム機「Xbox One X」でのSouthbridgeと同じものであった。
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