米国のルネサスが販売している8MビットのSTT-MRAM:福田昭のストレージ通信(194) アナリストが語る不揮発性メモリの最新動向(21)(1/2 ページ)
今回は、MRAMおよびSTTT-MRAMの開発ベンチャーであるAvalanche Technologyの製品事例を紹介する。
MRAMとSTT-MRAMの製品化事例を報告
フラッシュメモリとその応用に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」が2020年11月10日〜12日に開催された。FMSは2019年まで、毎年8月上旬あるいは8月中旬に米国カリフォルニア州サンタクララで実施されてきた。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的な大流行(パンデミック)による影響で、2020年のFMS(FMS 2020)は開催時期が3カ月ほど延期されるとともに、バーチャルイベントとして開催された。
FMSは数多くの講演と、展示会で構成される。その中で、フラッシュメモリを含めた不揮発性メモリとストレージの動向に関するセッション「C-9: Flash Technology Advances Lead to New Storage Capabilities」が興味深かった。このセッションは4件の講演があり、その中でアナリストによる3件の講演が特に参考になったので、講演の概要をご紹介する。
なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。
本シリーズの第10回から、技術調査会社TechInsightsでシニア技術フェローをつとめるJeodong Choe氏が「Technology Trend:NAND & Emerging Memory(NANDフラッシュメモリと次世代メモリの技術動向)」と題して講演した内容を説明してきた。前回(第20回)からは、「次世代メモリ(Emerging Memory)」の講演部分を紹介している。前回では、次世代半導体メモリの開発ロードマップを報告した。具体的には、磁気抵抗メモリ(MRAM)、スピン注入型磁気抵抗メモリ(STT-MRAM)、相変化メモリ(PCRAM)、クロスポイントメモリ(XPoint)、抵抗変化メモリ(ReRAM)、メムリスタ、強誘電体メモリ(FeRAM)、ナノチューブメモリ(NRAM)、キャッシュ用埋め込みDRAM(eDRAM)、埋め込みフラッシュメモリ(eFLASH)の開発実績と将来予測のロードマップを提示した。
講演のアウトライン。3D NANDフラッシュの開発ロードマップと要素技術、次世代メモリと埋め込みメモリの開発ロードマップなどを解説する。出典:FMS 2020の講演「Technology Trend:NAND & Emerging Memory」の配布資料(クリックで拡大)
今回から、磁気抵抗メモリ(MRAM)およびスピン注入型磁気抵抗メモリ(STT-MRAM)の製品化事例を順次、記述する。取り上げる開発企業は、Avalanche Technology、Everspin Technologies、Samsung Electronicsの順番となる。始めは、MRAMおよびSTTT-MRAMの開発ベンチャーであるAvalanche Technology(以降はAvalancheと表記)の製品事例をChoe氏の講演からご紹介しよう。
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