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米国のルネサスが販売している8MビットのSTT-MRAM福田昭のストレージ通信(194) アナリストが語る不揮発性メモリの最新動向(21)(2/2 ページ)

今回は、MRAMおよびSTTT-MRAMの開発ベンチャーであるAvalanche Technologyの製品事例を紹介する。

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2019年10月にIDTがAvalancheの4Mビット〜16MビットMRAMを発売

 2019年10月17日(米国時間)にIDT(Integrated Device Technology)は、Avalancheが開発したMRAMの販売を始めたと発表した(ニュースリリース)。IDTは2019年3月30日にルネサス エレクトロニクスによって買収されており、発表当時はルネサスの100%子会社だった。その後、IDTはルネサスに統合され、2020年1月1日付で「ルネサス エレクトロニクス・アメリカ(Renesas Electronics America Inc.)」となった。同年1月以降、IDTの製品は「ルネサス(Renesas)」にブランド名を変更した。


IDTが2019年10月17日(米国時間)に発表したニュースリリースの添付画像(クリックで拡大)

磁気抵抗メモリ(MRAM)およびスピン注入型磁気抵抗メモリ(STT-MRAM)の開発ロードマップ。2019年の矢印(筆者が追加)が、Avalancheの開発によってIDT(後にRenesas Electronics America)が販売を始めたSTT-MRAM製品。出典:FMS 2020の講演「Technology Trend:NAND & Emerging Memory」のスライド(クリックで拡大)

8MビットMRAM「M3008204」のパッケージを開封してダイを分析

 ルネサス エレクトロニクス・アメリカの公式資料によると、販売しているMRAMの製品名は「Mxxxx204ファミリ」で、記憶容量は4Mビット/8Mビット/16Mビット、入出力インタフェースはシリアル(QSPI)、入出力周波数は最大108MHz、語構成は×4ビット、電源電圧は3.3Vあるいは1.8V、長期信頼性は書き換えサイクル数が最小1014サイクル、データ保持期間が105℃で最小10年間となっている。製造技術は、40nm世代の垂直磁気記録型スピン注入タイプ(pSTTタイプ)である。


米国ルネサス(ルネサス エレクトロニクス・アメリカ(Renesas Electronics America Inc.))が販売しているMRAM「M3008204」のパッケージとシリコンダイの撮影画像。出典:FMS 2020の講演「Technology Trend:NAND & Emerging Memory」の配布資料(クリックで拡大)

 Choe氏の講演では、8ピンのDFNパッケージに封止した8Mビットの「M3008204」を開封し、シリコンダイを撮影した画像を示していた。シリコンダイには、Avalancheの刻印(マーキング)が施されていた。なおTechInsightsのWebサイトでCho氏が2020年9月25日付で公表したブログ(無償で閲覧できるのは一部のみ)によると、「M3008204」のメモリセル面積は0.032μm2であり、磁気トンネル接合(MTJ)は第1層金属配線(M1)の下に、コンタクトとの間に形成されていた。

 また、電子部品と半導体のオンライン通販サイト「マルツ」では、「M30082040054X0IWAY」を税込み単価2783円で販売していた(2021年4月22日時点の閲覧情報(参考))。

次回に続く

⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧

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