ルネサス、火災影響生じる21年4〜6月も増収増益へ:1〜3月期は14%の増収
ルネサス エレクトロニクスは2021年4月28日、2021年12月期(2021年度)第1四半期(1〜3月期)決算を発表した。2021年度第1四半期業績(Non-GAAPベース)は、売上高2037億円(前年同期比14.0%増)、営業利益526億円(同56.1%増)、当期純利益326億円(同9.0%増)で増収増益になった。
旺盛な需要で増収増益
ルネサス エレクトロニクスは2021年4月28日、2021年12月期(2021年度)第1四半期(1〜3月期)決算を発表した。2021年度第1四半期業績(Non-GAAPベース)は、売上高2037億円(前年同期比14.0%増)、営業利益526億円(同56.1%増)、当期純利益326億円(同9.0%増)で増収増益になった。
2021年3月19日に発生し、約1カ月の稼働停止などの影響が生じた那珂工場300mmウエハーラインでの火災による業績影響は、Non-GAAPベースで稼働損に伴う8億円の営業損失影響を計上した程度で、本格的な業績影響の計上は第2四半期(4〜6月期)になる。一方で、2021年2月13日に発生した福島県沖地震での那珂工場における一時稼働停止影響は、第1四半期業績に計上。一時稼働停止に伴う出荷減で24億円分の減収影響があった他、稼働損で24億円の営業減益影響(Non-GAAPベース)を反映した。
震災/火災のマイナス影響が生じた一方で、自動車向け半導体、産業・インフラ・IoT向け半導体ともに需要は旺盛で、第1四半期業績は、前年同期比、前四半期比ともに増収増益になった。
事業別業績は、自動車向け半導体事業が売上高1032億円で前年同期比10.4%増、全四半期比8.4%増。売上総利益率は前四半期比4.6ポイント増の42.4%、営業利益率は同5.9ポイント増の22.1%になった。産業・インフラ・IoT向け半導体事業は売上高966億円で、前年同期比17.0%増、前四半期比4.1%増。売上総利益率は59.8%で前四半期比1.9ポイントの改善。営業利益率は25.8%で同2.7ポイント増になった。
第1四半期における在庫水準は、自社在庫および、流通在庫ともに、前四半期よりも減少した。社長兼CEOを務める柴田英利氏は「現状、作ったものはすぐ売り上げになる状況」と現状の在庫水準が底であるとし、第2四半期以降の在庫水準については、現水準を維持ないし、少し増えていくとの見通しを示した。
受注残高については、自動車向け、産業・インフラ・IoT向けともに前四半期から数百億円規模で増え前年同期比で2倍程度まで増加している。受注残高の増加について柴田氏は「2020年度第2四半期ごろから特約店や自動車メーカーを中心にオーダーリードタイムの長期化をお願いしてきたことに加え、足元は非常に需給がタイトで、部材調達もタイトになっているため、半年程度の先までの確定受注を入れてもらわないと部材が調達できない状況を伝えている結果」と説明。「受注は実需ではあるものの、受注残高は継続的に増えず、いつかはピークアウトする見通し。2022年前半までは強含みでいくが、その後は大きく落ちるわけではないが調整局面に入るのではという感触を持っている」との見通しを示した。
火災の業績影響が本格的に出てくる第2四半期
第2四半期業績への那珂工場火災の影響は、売上高で170億円減、Non-GAAPベースの営業損益で140億円のマイナス影響を見込む。また福島沖地震影響としても、15億円分の減収影響を見込んでいる。火災、震災影響を合わせて約185億円の減収影響があるものの2021年度第2四半期業績については、売上高2040億円±40億円(中央値で前年同期比22.4%増)、売上総利益率50%、営業利益率23.5%を予想した。
仮に、火災・震災影響が生じていなければ、第2四半期の売上高規模は2200億円程度の水準になるが「(火災・震災影響が薄れる)第3四半期以降の売上高が2200億円程度になるという見方は個人的には“強過ぎる”と感じている。需要はこの先、2022年前半までは強含みで推移するだろうが、部材調達がタイトであり供給面で(四半期売上高)2200億円は強過ぎるのではないか」(柴田氏)と述べた。
那珂工場の復旧状況
那珂工場の復旧状況については「(前回公表した復旧スケジュールでは)4月中に生産能力50%まで回復するとしていたが、若干遅れ、今日現在は40%近くまで回復している状況。遅れの原因ははっきりしており、5月中にキャッチアップしたい」とした。
安定供給に向けた取り組みとして、各種災害に備えた設備強化やダイバンクの充実化の他、「これまで以上のレベルでの“完全なるマルチライン化”を進めていきたい」(柴田氏)とした。
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