ルネサス、2020年12月期業績を発表:2021年は「良い年になる」
ルネサス エレクトロニクスは2021年2月10日、2020年12月期(2020年度)通期決算を発表した。2020年度通期業績(Non-GAAPベース)は、売上高7157億円(前年比0.4%減)、営業利益1375億円(同48.6%増/営業利益率19.2%)、純利益1115億円(同46.9%増)と減収増益となった。売上総利益率は、47.3%で前年よりも4.4ポイント上昇した。
粗利益率、営業利益、営業利益率は発足以来最高
ルネサス エレクトロニクスは2021年2月10日、2020年12月期(2020年度)通期決算を発表した。2020年度通期業績(Non-GAAPベース)は、売上高7157億円(前年比0.4%減)、営業利益1375億円(同48.6%増/営業利益率19.2%)、純利益1115億円(同46.9%増)と減収増益となった。売上総利益率は、47.3%で前年よりも4.4ポイント上昇した。
社長兼CEOを務める柴田英利氏は「2020年前半は一体どうなるのかという不安に大きくさいなまれた。一方で、年後半になると自動車を中心に経済、需要が盛り返すなど、見える景色が目まぐるしく変わった1年だった。そうした中で売上高こそ、ぼちぼちだったが、粗利益率、営業利益、営業利益率は発足以来最高に達した」と述べた。
2020年度第4四半期(10〜12月期)業績は、売上高1916億円(前年同期比0.2%減)、営業利益372億円(同18.5%増/営業利益率19.4%)。同四半期の事業別売上高は自動車向け事業が953億円(前年同期比5.5%減/前四半期比19.8%増)、産業・インフラ・IoT向け事業が928億円(前年同期比6.7%増/前四半期比4.0%減)となった。
需給は全般的に切迫
同四半期の自社前工程工場稼働率(投入ウエハーベース)は、滋賀工場6インチラインの終息による稼働率低下があったものの、全社平均では受注増を受けて前四半期比10%程度上昇し約60%に高まった。また在庫水準についても、自社在庫、販売チャネル在庫ともに第3四半期末よりも減少し「(在庫は)ものすごく薄い状況になってしまっている」(柴田氏)とした。
「第4四半期業績は当初予測通りだったが、受注残が多く積み上がっている」(柴田氏)と受注に対し供給が追い付かない状況になっていることを認めながら、需給が逼迫(ひっぱく)している要因について柴田氏は「ボトルネックは必ずしも自社工場ではない。前工程、後工程ともに外部委託先がボトルネックになっている」と説明。特に需給が逼迫している領域としては「SoC(System on Chip)では16nmプロセス、マイコンでは40nmプロセスで非常に不足感が強い。これらのプロセスは最先端プロセス世代ではなく、新しい増産投資のない世代。とはいえ、外部委託先には、(これらプロセス世代の)生産能力を上げるべくご尽力いただいているがすぐには上がらない」(柴田氏)とし、外部委託先の生産能力増には時間がかかることなどから、当面、需給は逼迫した状況が続くとの見通しを示した。
なお、「外部委託している製品を自社生産に切り替えるといった対応は基本的に不可能」としつつも自社工場の増産にも着手。8インチウエハー生産ラインの生産ラインに余力がないため、これまで8インチウエハーで生産してきた130nmプロセスを使用したマイコン製品やIGBT製品の生産を12インチウエハーラインへ移行させる処置を実施。そうした大口径ウエハーへの移行などを行うため、2021年度第1四半期(1〜3月)は、2020年度第4四半期実績(74億円)の約2倍に相当する150億円以上の設備投資を計画している。
「1つでも多くの製品を顧客、エンドユーザーに」
2021年度第1四半期業績については、売上高1970億〜2050億円(前年同期比10.2〜14.7%増)、営業利益率48.5%(同1.2ポイント増)と増収増益を見込む。
2021年度について柴田氏は「クルマだけでなく、データセンター/コンピューティング、白物家電など全般的に需要は強含みで、現状、第1四半期よりも第2四半期の方が強含みに見えている。今見えている景色からすると、いい年になりそう。ただ、われわれにとって良い年になっても、顧客にとって悪い年になると、良くない。1つでも多くの製品が顧客、エンドユーザーに届くように、努力、投資を惜しまず実施していく」とした。
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