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CrossBar、ReRAMを用いた高信頼IoTセキュリティ実現へ新たな市場を切り開く(1/2 ページ)

抵抗変化メモリ(ReRAM)を手掛けるCrossBarは、同社の技術をReRAMベースのPUF(物理的複製防止機能)キーとして、ハードウェアセキュリティアプリケーションで使用するために適用するという。

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 抵抗変化メモリ(ReRAM)を手掛けるCrossBarは、同社のReRAMを利用したセキュリティの実現を目指している。

ReRAMベースのPUFキーで高信頼性のセキュリティ

 同社の技術を、ReRAMベースのPUF(物理的複製防止機能)キーとして、ハードウェアセキュリティアプリケーションで使用するために適用するという。このPUFキーは、セキュアなコンピューティングアプリケーションの中で生成することが可能だ。同社のCEO(最高経営責任者)を務めるMark Davis氏は、米国EE Timesの電話インタビューの中で、「CrossBarの技術はこれまで、不揮発性半導体メモリとして使われてきたが、そこから脱却することにより、新たな市場を切り開いていく」と述べている。

 PUFは、特定の入力/状況を対象として、物理的に定義された“デジタル指紋”出力を提供する物理的対象であり、“課題”として認識されている。大抵の場合、マイクロプロセッサなどの半導体デバイス向けに、固有識別子として機能する。PUFキーは決して新しいものではないが、オンラインバンキングやIoT(モノのインターネット)の台頭により、銀行カードや決済端末などの専用の電子デバイスを対象とするデジタルセキュリティの枠を超えて、さまざまなチャンスを生み出している。暗号化や電子署名の必要性が高まっているということは、ますます多くのASICやマイコン、SoC(System on Chip)に、ハードウェア暗号アクセラレーターやソフトウェア暗号ライブラリが組み込まれるようになってきているということだ。


CrossBarのReRAM PUFキーは、特定の実装に応じて、それぞれシングルPUFビットを示す、シングルReRAMセルまたはデュアルReRAMセルのいずれかを使用して実行することが可能だ 出典:CrossBar

 Davis氏は、「PUFキーはこれまで、SRAMを使用してきた。しかしReRAMは、SRAMと比べてランダム性が高く、ビットエラー率も大幅に低減するなど、さまざまなメリットを提供することができる。また、侵入型攻撃に対する耐性が優れている他、さまざまな環境変化にも対応でき、ファジー抽出器やヘルパーデータ、重いエラー訂正回路なども不要だ。全体的に見て、SRAMよりもコスト効率が高いといえるだろう。当社の手法を用いれば、エラーフリーを実現することが可能だ」と述べる。

 また同氏は、「ReRAM PUFは、PUF実装の限界に対応できるだけでなく、高いセキュリティ性と組み込み不揮発性メモリ(NVM)の両方を必要とする半導体アプリケーション向けとしても理想的だ。特に、まだ組み込みNVMに対応できない28nm以降のプロセスノード向けとして適しているといえる」と述べる。

 これらのPUFキーは、特定の実装に応じて、それぞれシングルPUFビットを示す、シングルReRAMセルまたはデュアルReRAMセルのいずれかを使用して実行することが可能だ。ReRAM PUFビットが感知されると、各半導体上で各PUFビット向けに“1”または“0”のいずれかとしてランダムに識別される。IoTチップで256 ReRAM PUFビットを生成した場合、個々の製造部品には、特定の半導体チップ専用の256ビットキーが含まれることになる。

 Davis氏は、「現在、膨大な数のコネクテッドデバイスや自動装置が存在することから、ReRAM PUFキーには強力な市場が広がっているといえる」と述べている。

 さらに同氏は、「攻撃対象領域は非常に広いため、そのための最も堅固な手法となるのが、ハードウェアセキュリティだ。ReRAMは、識別や暗号化/暗号解読、認証などに使われ、ReRAM技術に固有のランダム性能を利用することにより、それぞれが個々の半導体ICにとって特有のものになる。重要なのは、業界標準のランダム性テストに準拠した、完全にランダムなキーを確保することだ」と述べる。この他にもPUFの重要な特徴として、複製が不可能であるという点がある。

 ハッカーは、脆弱性が1つでも存在すれば、複雑なシステムにアクセスすることができる。このため現在、ハードウェアに組み込まれたメモリに特化したセキュリティに対する需要が高まる一方だ。デバイスセキュリティの必要性を高めている要素としては、IoTの他にも、セキュリティが信頼性と機能的安全性の実現に寄与する、コネクテッドカーが挙げられる。

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