CrossBar、ReRAMを用いた高信頼IoTセキュリティ実現へ:新たな市場を切り開く(2/2 ページ)
抵抗変化メモリ(ReRAM)を手掛けるCrossBarは、同社の技術をReRAMベースのPUF(物理的複製防止機能)キーとして、ハードウェアセキュリティアプリケーションで使用するために適用するという。
まずはハイエンドチップ市場へ参入
しかし、こうした傾向にもかかわらず、PUF市場の規模はそれほど拡大しないようだ。米国の半導体市場調査会社Objective Analysisで主席アナリストを務めるJim Handy氏は、「CrossBarは、PUF市場においてある程度の売上高を確保することができるだろう。しかし、PUFは物理的に見ると、SoCのような大規模市場の中の比較的小さい要素の1つだといえる。半導体チップの価格が約30米ドルであるのに対し、PUFは5セント程度に過ぎない。短期的には、ReRAM PUFは、よりハイエンドな用途向けとして採用されるが、最終的にはクレジットカード用のチップに適用するという市場が出現する可能性がある。もしそれが実現した場合、うまく軌道に乗るまでには、今後10年以上の年月を要するだろう。当面は、チップ間の優れたセキュリティを実現することが求められる、ハイエンドチップ市場に参入していくしかない」と述べている。
またHandy氏は、「この他にも、よく似たセキュリティ機能を提供することが可能なメモリ技術として、EEPROMが挙げられる。EEPROMを利用すれば、パスワードやハッシュのクローン、指紋データ、各種生体データなどの機密データを、簡単に暗号化することができる」と付け加えた。
Microchip Technologyは最近、I2CシリアルEEPROMの製品ファミリーとして、「24CS512」を発表した。レガシー機能として、外部ピンでメモリアレイ全体のロック/アンロックのみを行う他、メモリアレイを8つの異なるゾーンに分割し、そのゾーンをどのように組み合わせてもソフトウェアで個別に書き込み保護することが可能だという。工場キャリブレーション設定や、製造データ、MACアドレス、識別情報などの重要なコードの小規模セクションをプログラムしてから、新しいLockable ID(ロック可能なID)ページ機能で、主要アレイから分離された128バイトのメモリスペースをリードオンリーに設定する。
その他の技術としては、旧Cypress Semiconductor(Infineon Technologies(以下、Infineon)が2020年4月に買収)などのIPがある。Infineonの「Semper Secure」は、機能安全のための診断とデータ修正を行うと同時に、ハードウェアRoot of Trust(RoT)として機能するNORフラッシュメモリ。最大8つのメモリ領域を提供し、セキュアまたは非セキュアなアクセスが可能で、1つのメモリ領域は、異なるサイズ、独自のアクセスレベル、複数のアクセスに関連するキーを持つように構成できる。
Handy氏は、「PUFにも課題がある」と指摘している。その課題とは、温度や電源に左右される安定性だ。「PUFは非常に安定していなければならないが、同時にチップごとに異なるものでなければならない」(同氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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