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「CASE」で車載半導体はどう変わるのか大山聡の業界スコープ(45)(1/2 ページ)

ASEの普及で車載半導体が今後どのように変わっていくのか、どのようなプレイヤーが注目されるのか、目を離せない。ここでは直近のCASE関連の動きをまとめながら、今後の動向について考察してみる。

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 「CASE」については、本連載でも時々取り上げているテーマであり、自動車業界における「100年に一度の大改革」としても注目されている。なかでも「自動運転(Autonomous)」と「電動化(Electric)」については半導体業界との連携が重要だ。CASEの普及で車載半導体が今後どのように変わっていくのか、どのようなプレイヤーが注目されるのか、目を離せない。昨今の半導体業界は、品不足が続いたり、各国の政治が絡んだり、さまざまな形で注目を集めているが、CASEも半導体が注目される要因の1つだろう。ここでは直近のCASE関連の動きをまとめながら、今後の動向について考察してみる。

通信機能(Connected)

 「V2X」(Vehicle to X)を実現するための通信モジュールは、世界の各地で新車販売の際に設置が義務付けられつつある。搭載される半導体には、携帯電話機の通信機能部分と同等のものが使われるのが通常で、第5世代移動通信(5G)対応品でも数十米ドル程度のコストに抑えることができる。通信機能を持たせることによって、クルマが巨大なIoT(モノのインターネット)システムの端末として位置付けられ、さまざまなサービスを実現させることが可能になる。

自動運転(Autonomous)

 自動運転レベル1やレベル2であれば、各種センサーおよび、連動システムは比較的簡素な構成で実現できる。だが、レベル3以降は実現方法にいくつか選択肢があり、いずれもシステム構成が複雑なものになる。なかにはレベル3をスキップしてレベル4を目指す自動車メーカーもあるようだが、レベル3の段階でどのシステム構成を選択するのかおおむね決定される、とみて良いだろう。センサー部分にどこまでインテリジェント機能を持たせるか、全体を管理するAIプロセッサにどこまで権限を持たせるかなど、選択肢によって搭載される半導体の内容も大きく異なるものになる。いずれの場合も半導体に関しては数百米ドル程度の追加コストが必要になる。

共有化/サービス化(Shared & Services)

 この点については、新たな車載半導体の追加は不要で、特に大きな変化はない。むしろこのサービスが普及することで、新車販売台数が減少するような影響があれば、車載半導体全体にもマイナス影響が出る可能性はある。

電動化(Electric)

 HEV(ハイブリッド自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド自動車)のようにエンジンと電動モーターを併用する場合は、エンジン制御用とモーター制御用、それぞれにマイコン、アナログ、ディスクリートなどが必要だが、EV(電気自動車)のようにエンジンが不要になると、それを制御するための半導体も一切不要となる。現在、エンジン制御用マイコン市場は、ルネサス エレクトロニクス、NXP Semiconductors、Infineon Technologiesの3社が寡占している状態で、車載半導体でも付加価値の高い分野とされてきたが、EVへのシフトが進めばこのマイクロ需要が減少の一途を辿ることになる。車載半導体業界の勢力分布にも大きな影響が出るだろう。

 つまりCASEの観点から見れば、自動運転と電動化が今後の車載半導体の動向を大きく左右する、と言えよう。

自動運転の実現について

 上述したように、自動運転の実現方法には自動運転レベル3以降、さまざまな選択肢が存在し、どれが優勢なのか、どれが現実的なのか、明快な答えが存在しない。ここではレベル4の実現に向けたさまざまなアプローチを紹介しながら、選択肢を整理してみる。

センサーからのアプローチ

 自動運転レベル1、レベル2の段階から、イメージセンサー、ミリ波レーダー、LiDARなどのセンサーが多用されているが、これらのセンサーから入力された情報をその場で活用し、何らかの判断を行うための自動運転ソフトウェアと組み合わせることが効果的である。言い換えれば、センサーの性能/能力を前提としたソフトウェア開発が必要であり、センサーとソフトウェアを統合したアプローチが多く存在する。

 Google傘下のWaymo、Intel傘下のMobileye、ソニーなどが独自のプラットフォームを提供する戦略で、このアプローチをとっている。

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