ADIがウェアラブル向けAFEとPMICを発表:高集積化で小型化、高機能化に貢献
Analog Devices(以下、ADI)は2021年9月、ウェアラブル端末など電池駆動の小型医療端末向けのアナログフロントエンド(以下、AFE) ICおよび、パワーマネジメントIC(PMIC)の新製品を発売した。
Analog Devices(以下、ADI)は2021年9月、ウェアラブル端末など電池駆動の小型医療端末向けのアナログフロントエンド(以下、AFE) ICおよび、パワーマネジメントIC(PMIC)の新製品を発売した。いずれの製品も需要が拡大しつつあるウェアラブル端末やヒアラブル端末などの小型化、高機能化に貢献する製品だとする。
3つの生体情報測定用システムを集積
新製品の1つAFE IC「MAX86178」は、生体情報を測定するための3つの測定用サブシステムを搭載する「3in1」が最大の特長。心拍数と血中酸素飽和度(SpO2)を測定するための光学式PPGサブシステム、心電図などを測定するためのシングルリードECGサブシステム、呼吸数などを測定するための生体電位/生体インピーダンス(BioZ)サブシステムを集積した。これにより、心電図、心拍数、血中酸素飽和度、呼吸数という4つの一般的な生体情報測定を1つのAFE ICで実現できる。同社インダストリアル&ヘルスケア製品事業部ヘルスケアマネージング・ディレクターのAndrew Baker氏は「シングルリードECGサブシステムは(医療用機器の技術規格である)『IEC60601-2-47』に準拠しているなど、いずれのサブシステムも臨床グレードのシステム」とする。
従来の同社AFE製品では、測定用サブシステムの搭載は2種類までで、3種類の搭載は今回が初めて。3種類のサブシステムを2.6×2.8mmサイズのウエハーレベルパッケージ(WLP)に集積したことで、端末の小型化が可能になるという。
3つのレギュレーターが1つのインダクターを共有可能
もう1つの新製品であるパワーマネジメントIC「MAX77659」も主に生体情報を取得するようなウェアラブル機器やヒアラブル機器をターゲットにした製品。スイッチモード昇降圧チャージャーと3つの昇降圧型スイッチングレギュレーターを集積する。また「単一インダクタマルチ出力(SIMO)」と呼ぶ独自技術を採用し、3つのスイッチングレギュレーターは時分割で1つのインダクターを共有して使用できる。これにより1つの外付けインダクターだけで済むため「部品コストを60%、電源回路サイズを50%、それぞれ削減できる」(同社バッテリーパワーソリューションズ製品事業部エグゼクティブディレクター Karthi Gopalan氏)とする。
各レギュレーターの変換効率は中〜重負荷時で91%とし、軽負荷時の自己消費電流は5μAだという。またスイッチモード昇降圧チャージャーは、10分間の充電で4時間以上の動作時間を実現する急速充電が実現できるとしている。パッケージは2.55×2.37×0.5mmサイズのWLPを採用している。
ADIは2021年8月26日付で、Maxim Integrated Productsを買収。今回、発表した2製品はいずれもMaximで開発を進めてきたものになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Analog Devices、Maxim買収を完了
Analog Devices(以下、ADI)は2021年8月26日(米国時間)、Maxim Integrated Productsの買収を完了したと発表した。 - 1V以下の低電圧でもグリッチが発生しない監視回路IC
Maxim Integrated Products(以下、Maxim)は2021年6月21日(米国時間)、IoT(モノのインターネット)機器をはじめとする低電圧動作の機器に向け、“グリッチフリー”の電圧監視回路IC「MAX16162」を発表した。1.5Vや1.0Vあるいはそれ以下といった低電圧において、グリッチが発生しないことが最大の特長だ。 - Dialog買収でIoTを強化、「短期間で成果出す」ルネサス
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2021年2月8日、英Dialog Semiconductor(以下、Dialog)を買収することで合意したと発表した。Dialogの発行済みおよび発行予定の普通株式全てを取得し、完全子会社化する手続きを開始する。1株当たり67.50ユーロで取得する予定で、買収総額は約4886万ユーロ(約6157億円)となる見込みだ。 - 米粒より小さい、ウェアラブル機器用近接センサー
シャープ福山セミコンダクターは、ワイヤレスイヤフォンなどウェアラブル機器に向けて、本体サイズが米粒よりはるかに小さい近接センサー「GP2AP130S00F」を開発、量産を始めた。 - 動作時の消費電流がわずか990nAの1セル電池保護IC
エイブリックは2021年7月6日、動作時の消費電流が最大で990nAと極めて低い1セルバッテリー保護IC「S-82M1A/S-82N1A/S-82N1Bシリーズ」の販売を開始したと発表した。ウェアラブル機器やワイヤレスイヤフォン、補聴器などに搭載されるリチウムイオン二次電池パック、リチウムポリマー二次電池パックの用途に向ける。 - 半導体・部品の供給不足、値上げと納期遅延が深刻に
EE Times Japan、EDN Japan、MONOistのアイティメディア製造業向け3媒体は「第2回 半導体・電子部品の供給状況に関するアンケート」を実施した。調査期間は2021年7月29日〜8月16日で、有効回答数は327件。