ラティス、新sensAIソリューションスタックを発表:次世代のエッジデバイス向け
ラティスセミコンダクター(以下、ラティス)は、次世代のエッジデバイスに向けて、FPGA「Nexus」上で動作する「sensAIソリューションスタック」の最新版(v4.1)を発表した。
電力効率の高いAI/ML推論向け機能を提供
ラティスセミコンダクター(以下、ラティス)は2021年11月10日、次世代のエッジデバイスに向けて、FPGA「Nexus」上で動作する「sensAIソリューションスタック」の最新版(v4.1)を発表した。電力効率に優れており、AI(人工知能)機能を実装したエッジデバイスのバッテリー寿命を、従来に比べ最大28%も延長させることが可能になるという。
ラティスは、エッジアプリケーションに向けて、ハードウェアデバイスとしてFPGAを供給する。特に「Nexus」は、28nm FD-SOI(完全空乏型シリコンオンインシュレーター)技術を採用したFPGA。消費電力が極めて小さく、高性能でソフトエラーレートに対する信頼性も高い製品である。
また、IPコアやソフトウェア/ツール、レファレンス設計などを用途別にまとめた「ソフトウェアソリューション」を提供している。既に、「エッジAI」や「組み込みビジョンシステム」「システム制御」といったソリューションスタックがある。
特に、「sensAIソリューションスタック」は、FPGAベースの機械学習(ML)/人工知能(AI)ソリューションを実現するために必要となるツール群で構成されている。モジュール型ハードウェアプラットフォームやサンプル用デモンストレーション回路、レファレンス設計、ニューラルネットワークIPコア、開発ソフトウェア、カスタム設計サービスなどである。
今回発表したsensAIソリューションスタックの最新版(v4.1)では、機能の強化や追加を行った。その1つが「レファレンス設計」である。「人感検知」や「アテンショントラッキング」「フェースフレーミング」「のぞき見検知」などの機能をサポートした。
具体的には、PCなどに内蔵されたカメラ映像を基に、作業者やその周辺状況をAIが判断し、PCの電源を自動的にオン/オフしたり、画面の明るさを調整したり、データのプライバシーを保護するため画面をぼかしたり、ビデオ会議中に人の顔を見やすくしたりすることが可能となる。電源のオン/オフや画面の明るさ調整を適切に行うことで、バッテリー寿命を長くできるという。
2つ目は、用途の拡大である。性能と検出精度が向上したことにより、物体の分類などにも適用できる。音声/ビジョンベースMLアプリケーション開発に向けた新ハードウェアプラットフォームにより、産業用自動システムの高精度物体/欠陥検出などの用途にも、sensAIソリューションスタックを活用することが可能となった。
3つ目は、ツール群の拡充である。特に、ラティス製FPGA向けに最適化されたMLモデルのトレーニング、検証、コンパイルのためのGUIベースツール「sensAI Studio」は、新たにAutoML機能をサポートした。これにより、アプリケーションとデータセットのターゲットに基づくMLモジュールの開発を可能にした。Mobilenet ML推論トレーニングプラットフォームに基づく複数のモデルは、最新のNexus FPGAファミリー「CertusPro-NX」向けに最適化されている。スタックは「Caffe」や「Keras」「TensorFlow」「TensorFlow Lite」といったMLプラットフォームと互換性があるという。
ラティスは、引き続きエッジデバイス向け事業を強化していく。このため、ハードウェアとしては2022年以降も「Nexus」ファミリーの拡充や、新たな「Avant」ファミリーを開発し、市場投入していく。ソフトウェアソリューションとしては、「5G ORANスタック」などを用意していく計画である。
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