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電機8社の21年度上期決算、東芝の「脱・総合電機」に注目大山聡の業界スコープ(47)(1/4 ページ)

大手電機8社の2021年度中間決算が出そろった。前年度(2020年度)と比較して、業績を回復させた企業が多かった。だがその中で、回復に物足りなさを感じる企業や、東芝のように「脱・総合電機」を決意した企業があり、全体的に注目度の高い決算発表が多かった。各社の決算内容を振り返ろう。

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 2021年11月12日、東芝が2021年度(2022年3月期)上半期(4〜9月)決算を発表し、大手電機8社の決算が出そろった。新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックによる混乱に苦しめられた前年度(2020年度)と比較して、業績を回復させた企業が多かった。だがその中で、回復に物足りなさを感じる企業や、東芝のように「脱・総合電機」を決意した企業があり、全体的に注目度の高い決算発表が多かったように思う。ここでは各社の注目すべき点を紹介しながら、今後の見通しについて述べてみたい。

営業利益の見通しを若干引き下げた日立製作所

 日立製作所の2021年度上期業績は、売上高4兆8327億円(前年同期比1兆726億円増)、調整後営業利益3101億円(同1293億円増)、当期利益3224億円(同717億円増)であった。


日立製作所の事業部門別営業利益[クリックで拡大] 出所:日立製作所決算資料よりGrossberg作成

 IT部門は微増収微増益で、上期としては過去最高益を更新した。エネルギー部門は日立エナジーの買収影響で増収増益を達成しているが、上期としては営業赤字が残っている。インダストリー部門はJRオートメーション、空調システム、インダストリアルプロダクツ、いずれの事業も好調で、増収増益、モビリティ部門もビルシステム、鉄道ともに好調で増収増益を達成した。ライフ部門は、画像診断関連事業の売却、海外家電事業の売却、インダストリアル・ソリューション事業の一部撤退などの影響で減収減益だった。オートモーティブシステム部門(日立Astemo)は、自動車メーカーの減産や部品不足の影響などがあったものの、ケーヒン、ショーワ、日信工業の買収で事業規模を拡大、収益も黒字転換した。日立建機は市況回復によって増収増益、日立金属も自動車向けの需要回復などで増収増益を達成した。

 2021年度通期の会社計画は、売上高9兆7000億円(前年度比9709億円増、前回計画から2000億円増額)、調整後営業利益7230億円(同2279億円増、同170億円減額)、当期利益5500億円(同483億円増、前回計画と同額)とし、増収ながらも営業利益は若干の減額になった。市況回復の影響を受けている事業が多い中で、わずかながらも営業利益の見通しを引き下げた点についてはネガティブな印象である。

2023年度に会社を3分割する東芝

 東芝の2021年度上期業績は、売上高1兆5464億円(前年同期比1750億円増)、営業利益450億円(同419億円増)、当期利益598億円(同563億円増)であった。


東芝の事業部門別営業利益[クリックで拡大] 出所:東芝決算資料よりGrossberg作成

 エネルギーシステムソリューション部門は、発電システム、送変電・配電等いずれも増収増益で、太陽光関連事業以外はいずれも好調に推移した。インフラシステムソリューション部門は、公共インフラの社会システム事業が好調だったが、鉄道・産業システムの需要減が響いて減収減益だった。ビルソリューション部門は、空調が好調に推移したが昇降機及び照明の収益が悪化し、増収ながらも微減益になった。リテール&プリンティングソリューション部門は、リテール、プリンティング事業ともに好調で増収増益、デバイス&ストレージソリューション部門は、車載およびデータセンター向けの需要が好調で大幅な増収増益だった。デジタルソリューション部門は、官公庁向けシステムが好調で増収増益を達成した。

 2021年度通期の会社計画は、売上高3兆3500億円(前年度比2956億円増、前回計画から1000億円増額)、営業利益1700億円(同656億円増、前回計画と同額)、当期利益予想は、キオクシアの業績予想が入手できていないために開示できない、としている。また東芝は2023年度までに、インフラサービス会社、デバイス会社、東芝(資産管理会社)の3つに会社を分割し、それぞれが独立性を持って上場を目指す方針であることを明らかにした。総合電機メーカーとして創業146年の歴史を持つ同社は、「脱・総合電機」に大きく方向転換することになる。2023年度に売上高3.5兆円、営業利益2000億円を達成するための構造改革の進捗に着目したい。

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