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半導体不足を「2年前から予測」、万全の備えでサプライチェーンを支えるDigi-KeyDigi-Key Electronics プレジデント兼COO Dave Doherty氏

半導体や部品の供給難で多くの分野が困難を強いられた中、米大手ディストリビューターのDigi-Key Electronicsは、約2年前から増強してきた在庫で対応し続けている。プレジデント兼最高執行責任者(COO)を務めるDave Doherty氏が、こうした予測不能な市況を切り抜けるための投資戦略の他、次世代のエンジニア育成に向けたマーケティング戦略について語った。

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日本市場は前年比2倍

――2021年の業績は、いかがでしたか。

Dave Doherty氏 2021年の年間売上高は45億米ドルで、前年比60%増となった。日本市場も、2020年比で約2倍と高い成長を遂げた。当社は、世界で最も成長している半導体/電子部品のディストリビューターの1社だと自負している。

 半導体/電子部品の需要が非常に高い中、Digi-Keyは、信頼性の高い世界各国、各地域のサプライヤーと密に連携し、従来のディストリビューターが在庫パイプラインの維持に苦慮している一方で、常に在庫を確保していた。


次世代エンジニアを育てる独自のマーケティング戦略

――2021年に実施した戦略についてお聞かせください。日本では、どのような取り組みを行いましたか。

Doherty氏 Digi-Keyは、価値あるマーケティング活動を行うべく、社会問題の解決を前提としたマーケティングに取り組んでいる。2021年は世界的な部品不足が話題になったが、エンジニア不足も業界の将来にとって深刻な問題だ。日本では、エンジニアの増加と育成に貢献するためのマーケティング活動の一環として、独自のYouTube「Digi-Key日本公式チャンネル」を開設した他、金沢工業大学との産学連携となるアカデミックプログラムを開始した。

 Digi-Key日本公式YouTubeチャンネルでは、エンジニアのサポートを目的とした基礎から応用、実践までの幅広い内容の動画に加え、エンジニア以外のユーザーにもモノづくりの楽しさを知ってもらうべく、小学生向けの自由研究プロジェクトや人気電子工作YouTuberイチケンとのコラボレーションなど、エンターテインメント性の高い動画も配信している。日本公式YouTubeチャンネルについては好意的なフィードバックを多くいただいており、2021年5月の開設以降、登録者数は6000人に上り、再生回数は20万回に達している。

 Digi-Keyのアカデミックプログラムは、現場で必要とされるテクノロジーや知識など、大学の座学では学ばないことに焦点を当て、現場に出た際に即戦力として活躍できる、次世代の若手エンジニアの育成を目的にしている。

 金沢工業大学との産学連携では、マルツエレックの協力の下、「IoTエッジエンジニア養成プログラム」としてアカデミックプログラムを展開し、デザインコンテストも開催した。COVID-19の影響で、遠隔でのプログラムになったが、金沢工業大学の最新技術を用いたオンラインシステムとアバターロボットを活用し、オンラインでのハンズオン講義を行うことができた。

 デザインコンテストでは、SDGs(持続可能な開発目標)の実現をメインテーマとし、社会の問題解決に役立つものや、日々の生活の利便性が向上するものを考え、作品を製作していただいた。

 同プログラムは、学生に質の高い教育を提供することで日本のSDGsを支援し、学生の課外活動への参加をサポートするとともに、最終的には雇用可能性を向上させると考えている。

「半導体不足」は事前に予測して備えた

――COVID-19のパンデミックが始まってから約2年が経過しましたが、Digi-Keyのビジネスにはどのような影響がありましたか? また、どのように対処してきたのでしょうか。

Doherty氏 この1年間で、市場では、誰もが予測できない事態が起こり得ることを学んだ。だが当社は、「倉庫の拡張」「顧客体験、顧客サポートをデジタル(オンライン)とアナログ(リアル)の両面でローカライズすること」「WebサイトおよびWebサービスの拡大」「新規市場への拡張」といった、戦略的イニシアチブへの投資を継続することで、世界各国/各地域の顧客にベストな購入体験を提供し続けると同時に、予測不能な市況を乗り切ってきた。

 新しいサプライヤーの開拓と製品のSKU(Stock Keeping Unit)の増加にも力を入れ、日本のお客さまの高い需要にも対応できるようになっている。さらに、早い段階から在庫レベルを増加させたことで、2020年11月ごろから始まった急速な需要増の波に乗り、当社の成長を後押しすることができた。

 Digi-Keyの在庫モデルは、エンジニアリングコミュニティーが当社の在庫を把握する上で、これまで以上に重要なものになっている。現在、われわれは、2000社のサプライヤーから提供される1260万点もの部品を取り扱っているが、2021年1月以降、新たに500社のサプライヤーから110万点の部品を追加した。コアストックに加え、Digi-Key Marketplaceを通じて、850社以上のサプライヤーから110万点の部品を提供し、既存のコアビジネスモデルでは提供していない製品も取りそろえている。

――半導体や電子部品の供給難は続いていますが、その影響についてはいかがでしょうか。

Doherty氏 ご承知の通り、2021年を通して、半導体や電子部品など需要の高い部品の入手は非常に困難だった。一方でそれが受注増につながったケースもある。当面は厳しい状況が続く可能性もあるが、2022年は顧客側にも余裕が生まれ、受注がこれまでよりも現実的なレベルに戻り始めるとみている。

 実はDigi-Keyは、今回の供給不足をかなり前から予測していた。エンジニアリングコミュニティーでの動向を注視していく中で、2019年後半から設計関連の動きが例年よりも活発になっていることを把握していた。そうした状況の下、新製品が大量に購入され、設計が始まったことを受け、当社は2019年後半から2020年初頭にかけて在庫を増強した。2021年末までの発注計画を立て、サプライヤーが将来的なニーズをできる限り見通せるようにした。

2022年は供給量の増加に期待

――2022年の市場展望についてお聞かせください。

Doherty氏 この1年で、自動車から医療、産業用オートメーションからコンシューマー機器まで、あらゆる業界で新製品の導入が急増した。とりわけIoT(モノのインターネット)関連のソリューションについては需要が高く、ここ数年の当社のビジネスを大きくけん引している。この傾向は2022年も続くだろう。

 Digi-Keyは、エコシステム全体のイノベーションを促進するために必要なあらゆるコンポーネントとサービスを提供していく。サプライヤーは、自社の製品が、イノベーションを起こしている世界中のエンジニアおよび企業にとっていかに重要であるかを理解している。そのようなサプライヤー各社と連携して事業を行えることを誇りに思っている。

 当社は、サプライヤーが、供給を増強して需要を満たすべく、新たな手法の模索に尽力していることを、どこよりも理解しているつもりだ。それ故、2022年には供給量が増加すると前向きにみている。

倉庫拡張が完了

――2022年の売上高の予測および設備投資について教えてください。

Doherty氏 本社のある米国ミネソタ州シーフリバーフォールズでは、数年前から行っていた倉庫の拡張が完了した。拡張後の倉庫(Product Distribution Center Expansion(PDCe))は、顧客からの要望に正確に応えるために1つから任意の数量で出荷できる、世界最大規模の倉庫になる。この投資は、日本を含め、世界中の顧客への納期を短縮する方法を常に模索し続けるという当社のコミットメントを示すものでもある。


拡張が完了した倉庫(Product Distribution Center Expansion(PDCe))

 倉庫拡張は、世界各地からの受注を1カ所の倉庫に集約し、幅広い製品の発送を行う上で最善の方法であるため、今後も投資を継続していく。顧客からも「工場や拠点の位置にかかわらず、組み立てに必要な部品は、1カ所からできるだけ同じタイミングで受け取りたい」という強い要望を受けている。倉庫が1カ所だからこそ、顧客のサプライチェーンの変化や、試作(NPI)ラインから量産ラインへの移行、戦略的な理由による顧客の拠点の移動といった状況に合わせて、異なる製造拠点に迅速に出荷できる。

 倉庫拡張以外でも、カスタマイズされた検索など検索機能の向上、個人に最適化されたコンテンツ、ビジュアル表示された分かりやすい商品検索など、顧客体験を下支えする多くの技術に投資を続ける。

――日本市場への期待をお聞かせください。日本に特化した戦略はありますか。

Doherty氏 日本の顧客からは、サービスと品質の両面で高い期待を寄せられている。当社の新しい倉庫では、カットテープ製品に対するより高度で正確なトレーサビリティを提供できる機能を備えている。さらに、コンポーネントレベルとオートメーションレベルの製品を最も幅広く選択できるとともに、BOM(部品表)管理ツールや見積書作成ツール、APIツールも強化している。

 日本では、顧客体験のローカライズにも注力している。日本時間に基づいた、日本語での顧客サービスやサポートを行う他、2021年1月には日本および韓国の顧客に対し、信用口座取引サービスを拡大すると発表した。

 Digi-Keyは、日本のエンジニアやホビイスト、学生とつながり、エレクトロニクスに関する知見の蓄積や教育を継続できるようサポートすることを誇りに思っている。顧客と当社社員の尽力により、2021年も成功を収めることができた。2022年以降も、日本の顧客各社に貢献できることを楽しみにしている。


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提供:Digi-Key Electronics
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2022年2月10日

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