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サスティナブル社会実現に向け技術革新&脱炭素を加速するSTマイクロエレクトロニクスSTマイクロエレクトロニクス エグゼクティブ・バイスプレジデント 野口洋氏

STマイクロエレクトロニクスは、豊富な半導体製品ラインアップを「オートモーティブ」「インダストリアル」「パーソナルエレクトロニクス」「コンピューター/通信機器」の注力4分野を中心に展開。2021年は各注力分野での力強い需要に支えられ、高水準の事業成長を果たした。2022年以降も、ニーズが高まるエッジAI関連製品やSiC/GaNパワーデバイスなどのラインアップをさらに充実させ成長を図るとともに、長年にわたって取り組むサスティナブル社会の実現に向けた施策を一層、加速させていくという。同社エグゼクティブ・バイスプレジデントで、中国を除くアジア・パシフィック地区のセールス & マーケティングを統括する野口洋氏に、これからの事業戦略について聞いた。

» 2022年01月21日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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注力4分野いずれも力強い成長を実現

――2021年を振り返っていただけますか。

野口洋氏 2021年は、半導体に携わる者にとって記憶に残る1年になったと思っている。

 1月末に公表している全社の業績は、2021年通年の売上高が前年比24.9%増の127.6億米ドルだった。

 われわれがターゲットにしている「オートモーティブ」「インダストリアル」「パーソナルエレクトロニクス」「コンピューター/通信機器」の4分野全てで、市場の力強い伸びと、われわれの製品群の競争力が相まって、高い水準での成長を実現できたと考えている。

SiC関連売上高10億米ドルを2年前倒しで達成へ

――2021年は、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイス関連の投資や発表が相次ぎました。

野口氏 注力4分野の中でも、特に重点を置いているオートモーティブ、インダストリアルの2分野で、ワイドバンドギャップ半導体の1つであるSiCを使用したパワー半導体がキーデバイスの1つになる。

 実際に自動車の電動化に伴ってSiCパワーデバイスの需要は堅調に伸びている。当初は2025年にSiC関連売上高10億米ドルの達成を掲げていたが、2023年にも達成が見込める状況になっている。

 また、2021年6月にルノー・グループと、SiCおよび、GaNを使用した小型・高効率のモジュール型コンポーネントを共同開発して2026年から2030年までの間、ルノー・グループの電気自動車(EV)/ハイブリッド車(HEV)に供給するという内容の戦略的提携を結んだ。これにより、大量のパワーモジュール/トランジスタを供給できることになる。

 今後も大きな需要が見込まれる中でSTとしては、2023年までに(SiCウエハーとしては大口径になる)200mm SiCウエハーに対応する新工場を稼働させる予定である。

建設中の新工場は200mmSiCウエハー製造機能を備え、2024年までにSiCウエハーの自社製造比率を40%に高める[クリックで拡大] 出所:STマイクロエレクトロニクス

 新工場では、2019年に買収したNorstel ABのノウハウを活用してSiCウエハー自体の製造設備を備え、200mmSiCウエハーを内製していく計画。これによりSiCウエハーの自社製造比率は4割超にしていく予定だ。世界的にSiCウエハーがひっ迫している中で、安定した供給とコスト最適化を実現できるようになる。

インダストリアルに向けて「エッジAI」「GaN」を強化

――オートモーティブに並んで重点を置くインダストリアル分野で、注力する製品/技術についてご紹介ください。

野口氏 インダストリアル分野に向けては「エッジAI」を強く打ち出している。一部民生機器分野も含めて、エッジAIへのニーズは非常に高い。画像認識技術や各種センサー技術とAIを組み合わせて、リアルタイムモニタリングや予知保全、アセットトラッキングなどのアプリケーションを実現しようとする動きが加速している。

 豊富なラインアップがあるマイコン製品群「STM32ファミリ」に、AI関連処理に適した独自ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を搭載した製品が数多く加わり、好評を得ている。このほど、エッジAI開発ツール/ソフトウェアを専門にするCartesiamを買収した。同社のIPも活用してさらに、エッジAI対応STM32製品を充実させていく。

マイコン「STM32ファミリ」とセンサーが実現する広範なエッジAIアプリケーションのイメージ[クリックで拡大] 出所:STマイクロエレクトロニクス

 エッジAIを実現する上で、マイコンとともに不可欠なセンサー、通信デバイスもチップセットとして提案していく。センサーでは、機械学習処理をセンサー内で行えるようにマシンラーニングコア(MLC)と呼ぶAIエンジンを内蔵した製品をラインアップし、エッジにおけるAI処理方法の選択肢を広げた。通信についても、BluetoothやWi-Fi、NB-IoTなどの無線、インダストリアル分野で広く使われるIO-Linkなどの有線など、幅広い通信規格に対応したデバイスをそろえ、さまざまニーズに応えられる体制を整えている。

 インダストリアル分野では、電源用途に対し、GaNパワーデバイスの提案も強化していく。

――GaNパワーデバイスについて詳しく教えてください。

野口氏 新しい集積型GaNソリューション「MasterGaN」の提供を開始した。9×9×1mmの小型パッケージに、ハーフブリッジゲートドライバとGaN HEMT(電子移動度トランジスタ)を集積した600V耐圧のGaNパワーモジュールになっている。従来のシリコンベースの製品に比べサイズは4分の1ながら、GaNの特長である高速、高効率、安全駆動を実現し、産業機器などの省エネ化、小型化に貢献するソリューションになっている。SiCとともに、GaNについても強化を続けていく。

2027年にカーボンニュートラル達成へ

――2022年、新たに取り組む施策はありますか。

野口氏 新しい取り組みではないが、2022年は、よりサスティナビリティ(=持続可能性)に向けた取り組みをより強化していきたい。

 ここ数年でサスティナビリティという言葉、考え方が浸透してきているのだが、STでは、25年以上前から会社としての経営方針の1つの柱として掲げて取り組んできた。改めて今、こうした取り組みを前面に出して、サスティナブルな社会実現の一翼を担えればと考えている。

 サスティナビリティ実現に向けてSTが提供を目指している価値は、「人材を第一に」「より良い暮らし」そして「環境を保護」の3つになる。

サスティナブル社会実現に向けSTマイクロエレクトロニクスが提供する価値[クリックで拡大] 出所:STマイクロエレクトロニクス

 「人材を第一に」では、STに携わる全ての人が安全で、かつ、能力を発揮できるような環境作りに努めている。「より良い暮らし」に向けては、技術的イノベーションを起こしながら、顧客の満足につながる製品を開発していくことが、主な取り組みになる。そして「環境を保護」ということに対しては、エネルギー利用の効率化を可能にする製品の提供はもちろんのこと、われわれの工場での資源の有効活用や化学物質の削減といったことに注力している。

 そして、2022年以降はこうした取り組みをさらに強化していく。具体的には、2027年までにSTとして、カーボンニュートラル(炭素中立)を実現するという非常に野心的な目標を定めた。カーボンニュートラルを達成するのは、製品を生産する工場だけでなく、社員の通勤や製品の輸送など温暖化ガス排出を伴う事業活動全般において、排出量の削減に努めるなどしてカーボンニュートラルを達成するとの内容だ。既に2027年までのロードマップを策定しており、日本法人を含めてカーボンニュートラル達成へ取り組んでいく。

豊富な製品群生かし価値あるソリューションを提供

――日本市場における2022年の事業戦略をお聞かせください。

野口氏 日本市場においても「オートモーティブ」「インダストリアル」「パーソナルエレクトロニクス」「コンピューター/通信機器」の4分野に注力していくという基本戦略は変わらない。

 その中で、特に注力していくのが、自動車の電動化および、インダストリアルや民生機器分野でのさらなるIoT化、という2つの大きなトレンドに向けたビジネス展開だ。

 自動車の電動化には、先述したSiCを中心にしたパワーデバイスが軸になる。これまでの高耐圧領域で培ってきたノウハウ、製品ラインアップをベースに自動車の電動化に貢献していく。

 IoTに関しては、ミリ波5Gの普及によって超高速ネットワークが実現されれば、さまざまな新しいアプリケーションが登場することになるだろう。そうした超高速ネットワークを生かした新しいIoTアプリケーションでは、より高度な処理、AIに対するニーズが高まっていくので、STM32ファミリを筆頭にしたエッジAIソリューションでSTが貢献できる場面が増えていくと期待している。

 とはいえ、自動車の電動化、IoT化に限らず、さまざまな顧客課題を解決するソリューションを提供していく。STには、マイコンやセンサー、SiC/GaNパワーデバイスに加え、その周辺のアナログICやシリコンMOSFET、保護用ダイオードなど非常に広範な製品ラインアップがある。1つ1つの製品を提案していくだけでなく、それら広範な製品群を生かしたシステムソリューション提案を強め、顧客にわれわれのソリューション提案に価値を見いだしてもらえるように努力していきたい。

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提供:エス・ティー・マイクロエレクトロニクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2022年7月13日

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