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» 2022年01月13日 10時00分 公開

部品数も品種も「圧倒的」、供給難を乗り越えるマウザーの在庫戦略Mouser Electronics APACマーケティング&ビジネス開発担当VP Daphne Tien氏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や半導体/部品不足の先行きが不透明な中、2021年の売上高を大きく伸ばしたMouser Electronics(マウザー・エレクトロニクス)。本社VP, APACマーケティング&ビジネスデベロップメントを務めるDaphne Tien氏は、困難な状況下でも、同社ならではの在庫戦略で切り抜けてきたと語る。

[PR/EE Times Japan]
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大きな飛躍を遂げた1年

――COVID-19のパンデミックや部品不足と、大変な1年でしたが、2021年の業績はいかがでしたか。

Daphne Tien氏 2021年は素晴らしい成長を遂げた1年になった。2021年の売上高はグローバルで30億米ドルを超えると予測している。前年比60%以上の成長になる見込みだ。米ドルベースでは、過去最高の売上高になる。2022年上半期もこの勢いで好調を維持できるとみている。

――2021年の主な戦略を教えてください。顧客数や取り扱い製品数の増加など、特筆すべき成功はありましたか?

Tien氏 われわれのビジネスを成長させるための重要な要因の一つが在庫だ。当社は競合他社よりも豊富な品ぞろえを誇っており、半導体や部品の供給難が続く中で、その品ぞろえと在庫を収益につなげることができた。

 もう一つのビジネス戦略として、NPI(New Production Introductions/新製品の導入)に重点を置いている。マウザーは2021年も高い水準のNPIを維持しており、売上高の15%以上に貢献している。その中には総在庫の20%近くも含まれている。われわれは、顧客の設計に合わせて迅速かつタイムリーに供給するために、常に高水準のNPI在庫を維持するよう努めている。

 2021年の顧客数は前年比で約10%増、出荷個数は60%増になると見込んでいる。特筆すべきは、日本での売上高が前年比で90%近く増加していることだ。この成長率は非常に素晴らしく、他のどの地域よりも上回っている。

マウザーの地域別販売推移

倉庫の自動化で徹底的に作業を効率化

――2021年9月に、倉庫を自動化したと発表しました。具体的に、どのように自動化したのですか。

Tien氏 当社は米国テキサス州ダラス近郊に、東京ドーム2つ分の巨大なグローバル物流センター(倉庫)を所有している。当社の倉庫はこの1カ所だけであり、ここから世界各地に製品を出荷している。

 今回の自動化では、物流センターに最新鋭の垂直リフトモジュール(Vertical Lift Module/以下、VLM)を102台導入した。これは、業界最大規模の設置数だ。

 VLMは、部品を保管する棚と自動昇降機を備えた、巨大な縦型のファイルキャビネットのような構造になっている。VLMを使用することで、縦のスペースを余すことなく使用でき、床面積をより有効に使えるようになる。

 VLMは、あらゆるサイズの部品を1つのシステムで収納することができる。直感的に設計されていることから、当社の倉庫では平均のピッキング率が大幅に向上した。ピッキング率の向上により、注文処理時間が約15分に短縮され、1日当たり平均7万5331件の部品発送準備が可能になった。これは同業他社と比較しても非常に優れている。

マウザーの倉庫内の様子。写真中央がVLMである

 さらにVLMは、ライトカーテンやシャッタードアなどの安全機能を備えているので、一般的な倉庫に設置されている従来のラックよりも安全性が高い。従業員のケガを防ぐことにもつながり、より安全な作業環境を提供できる。

膨大な安全在庫で部品不足に対応

――COVID-19のパンデミックが始まってから約2年が経過しました。マウザーのビジネスはどのような影響を受けましたか。困難な状況の中、どのように対処してきたのでしょうか。

Tien氏 パンデミックが始まった当初は、メーカーの多くの工場では労働力を確保することができず、数カ月間の操業停止を余儀なくされた。さらにロックダウンの期間中は空路、陸路の交通が制限され、需要に対して供給が不足する事態をどうしても避けられなかった。

 ただ幸いなことに、当社は、パンデミックなどの緊急事態宣言下でも稼働を許可される「ISO-13485」を取得している数少ないディストリビューターであり、こうした困難な状況下でも、顧客への製品出荷を継続することができた。それが可能なのはマウザーが大規模な安全在庫を持っているからだ。一般的なディストリビューターの在庫回転率は、1年間で5〜6回転だが、マウザーは1〜2回転と大幅に少ない。つまりそれだけ在庫を持っているということだ。マウザーは7〜8カ月の安全在庫を持つことで、パンデミックなどに関係なく、一般的な供給停止の際にも優位に立てる。

 パンデミックでメーカーやディストリビューターが直面したもう一つの大きな課題は、倉庫内での感染リスクやクラスターの発生だ。マウザーは、従業員の健康を守り、安定した操業を維持するために、作業環境の定期的な除菌、ソーシャルディスタンスの確保の徹底、全従業員に対する毎日の体温測定など、徹底した感染対策を実施した。来訪者も制限し、COVID-19にさらされるリスクが高い従業員はリモートワークを行ってもらうといったシステムも導入した。こうした対策を全て行うことで、パンデミックの影響を最小限に抑え、顧客の需要に応えることができた。

――半導体や部品の供給難は現在も続いています。こちらの影響についてはいかがでしょうか。

Tien氏 もちろん、影響がないわけではない。ただ先ほども話した通り、マウザーは高い安全在庫と低い在庫回転率で、常に同業他社よりも優れた在庫管理を行っている。納期についても、例えばある部品の納期が従来の20週間から30週間に伸びてしまった場合でも、その伸びた分を考慮して発注する量とタイミングを調整することで、顧客への出荷に大きな影響が出ないようにしている。さらに、当社は船便ではなく空路で輸送しているので、税関審査に通常よりも時間がかかる程度で、顧客への納期はコロナ前に比べて1〜2日遅れくらいで済んでいる。

 われわれがこうした優位性を維持できるのは、2016年と2020年に拡張した物流センターへの投資を続けているからだ。加えて、マウザーは現在、1100を超える製品ブランドから530万以上のSKU(Stock Keeping Unit/実在庫品番数)を在庫している。しかもそれらは全て、マウザーのサイトから直接ワンストップショッピング(一カ所で全部を購入)できる。

 これらにより、メーカーの生産量が低下した場合や、顧客の要求が変化した場合でも、柔軟に対応することが可能だ。豊富な製品在庫により、エンジニアや調達担当者といった主要顧客の緊急のニーズにも対応できるのが強みだ。

 安定した供給と効率的な流通を維持するために実施してきたさまざまな対策により、世界的に続く部品不足の混乱による影響は比較的小さく、部品メーカーとの大幅な調整を行う必要もなかった。

2022年も好調続く

――2022年の市況をどのように見ていますか。

Tien氏 おおむね、見通しは明るいと考えている。2022年前半は、特に半導体が堅調に伸びるだろう。ただ、受動部品などの分野は、能動部品の供給問題によって、やや減速する可能性がある。アプリケーションでは、自動車が5G(第5世代移動通信)やIoT(モノのインターネット)と同様に着実に成長していくと見ている。これらの産業を支えるには、パワーマネジメント関連の製品が重要な鍵の一つになるだろう。

――2022年の事業戦略や投資計画について教えてください。

Tien氏 2022年も好調な年になるとみているが、2021年と同じレベルに達するかどうかは、まだ疑問だ。それでも、成功を収めてきた在庫戦略や幅広い品ぞろえ、迅速なNPIといったこれまでの戦略を続け、今年も2桁成長を期待している。現時点で当社のオープンオーダーは、メーカーの中では高い水準にある。受注を達成できれば、業績はおのずと伸びていくだろう。

――日本市場については、いかがですか。日本に特化した戦略があれば教えてください。

Tien氏 冒頭で述べた通り、日本法人であるマウザージャパンも2021年は業績、顧客数ともに前年比で大きく伸びた。研究開発が盛んな日本は、マウザーにとって常に重要な市場だ。われわれは、日本の多くのメーカーと強固な関係を構築することに重点を置いてきた。今後も、デザインコンテストの開催やイベントへの参加、WebサイトやSNS(日本ではTwitter)での最新技術の紹介などを通して、日本のエンジニアとのコミュニケーションを深めていきたい。

マウザージャパンの販売および顧客数の成長推移

 当社のブランド認知度をさらに高めるためのマーケティング活動にも力を入れるほか、日本の製造パートナーとも密に協業して、そうしたパートナー企業の最新技術を、マウザーを通じて世界に発信していく。日本でも好調な1年を維持できると確信している。


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提供:Mouser Japan合同会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2022年2月10日


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