東芝、300mmウエハー対応新製造棟建設を決定:パワー半導体増産へ24年度稼働予定
東芝デバイス&ストレージは2022年2月4日、加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市/以下、加賀東芝)に300mmウエハー対応の新しいパワー半導体製造棟を建設すると発表した。
東芝デバイス&ストレージは2022年2月4日、生産拠点の加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市/以下、加賀東芝)に300mmウエハー対応の新しいパワー半導体製造棟を建設すると発表した。建設は2期に分かれ、まず2023年春に第1期分の建設に着手し、2024年春の建屋完成、2025年3月期中の稼働開始を予定する。同社は「第1期分フル稼働時にはパワー半導体の生産能力を2022年3月期比で約2.5倍に増強する計画」としている。
既存製造棟での300mmライン稼働も前倒しへ
新製造棟の建設を決めた加賀東芝はこれまで、低耐圧MOSFET、IGBTを中心とするパワー半導体の増産を目的に200mmウエハー対応製造ラインの増強を進めるとともに、2021年3月に300mmウエハー対応製造ラインを既存製造棟に導入することを決定していた。既存製造棟での300mmウエハー対応製造ライン稼働時期については当初、2024年3月期上期を予定していたが、今回、2023年3月期下期に前倒しすることを決定。その上で、新たな製造棟の建設を決定した。
新製造棟の具体的な設備導入時期や生産開始時期、生産能力、生産計画などについては「市場の動向を見ながら順次決定、実行していく」(同社)とする。
新製造棟は、地震の揺れを吸収する免震構造の採用や電源などの二重化を進め事業継続性を高める方針。さらに、「最新の省エネ製造設備の導入などにより製造における環境負荷低減を行う。また新製造棟で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来でまかなう『RE100』化する計画。人工知能(AI)やウエハー自動搬送システムの導入などを通じて、製品品質および生産効率をより向上させる」(同社)としている。
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