米商務省、半導体サプライチェーンの調査結果を公表:不足しているノードも特定
米商務省は2022年1月25日(米国時間)、2021年9月から行っていた半導体サプライチェーンの調査結果を公開した。
米商務省は2022年1月25日(米国時間)、2021年9月から行っていた半導体サプライチェーンの調査結果を公開した。
半導体不足が露呈した直後に誕生したバイデン政権は、当初から半導体産業の強化に力を入れてきた。主要半導体メーカーの幹部と議論を交わし、「Supply Chain Disruptions Task Force(サプライチェーン混乱タスクフォース)」を設立し、混乱する半導体サプライチェーンへの対応に取り組んできた。
だが混乱は一向に収まらない。半導体不足に歯止めがかからない中、米商務省は2021年9月、半導体不足の実態を調査すべく、世界中の主要半導体企業にサプライチェーン関連の情報提供を求める「Request for Information(RFI)」を開始した。その結果、ほぼ全ての主要半導体メーカーを含む150以上の企業から回答を得たという。
商務省は主な調査結果として以下を挙げている。
- 2021年の半導体需要の中央値は、2019年に比べて17%増加したが、半導体購入者はその需要増に見合った供給増を実感していない。ここに需給の大きなミスマッチが存在する
- 半導体製品の在庫は、2019年の40日に比べて、2021年は5日未満に減少した。主要産業においては、在庫がさらに少ないという
- 調査に回答した企業からは、工場の生産能力以外にも、材料、組み立て、テスト、パッケージングといった後工程のキャパシティーも不足しているとの回答が得られた
- RFIにより、需給のミスマッチが最も深刻なプロセスノードを特定することができた。今後は、これらのプロセスノードにおけるボトルネックを解消すべく、半導体業界との協力を強化する
- 全体的なボトルネックは、ウエハー生産能力だと思われる。これには、長期的なソリューションが必要になる
これらの結果を受けて商務省は、調査結果を報告したリリースで「米国は、半導体の生産量を増加する必要がある。米議会は、長期的な供給問題を解決すべく、『U.S. Innovation and Competition Act(USICA)』のような半導体国内生産に向けた支援法案を通過させなくてはならない」との見解を述べた。
RFIの調査結果によれば、半導体各社は既に生産量を増加していて、特に2020年第2四半期から2021年を通して、半導体工場は90%を超える稼働率になっているとする。
四半期ごとの半導体工場の稼働率[クリックで拡大] 出所:米商務省「Results from Semiconductor Supply Chain Request for Information」(2022年1月25日)
レガシープロセスのチップが足りない
需給のミスマッチが特に大きいのは、以前から指摘されていたように、レガシープロセスのチップだ。RFIでは、どのプロセスノードが特に不足しているのか詳細を述べている。それによると、
- 40nm、90nm、150nm、180nm、250nm世代で製造するマイコン(医療機器や車載など向け)
- 40nm、130nm、160nm、180nm、800nm世代で製造するアナログチップ(電源管理、イメージセンサー、RFなど向け)
- 65nm、110nm、180nm世代で製造する光エレクトロニクスチップ(センサーやスイッチ向け)
なお、米下院は2022年2月4日(現地時間)、半導体産業を支援し、サプライチェーンの安定化を図る法案「America competes act of 2022」を可決した。半導体の生産能力および研究開発の強化に520億米ドルの補助金を投入する。中国に対抗することと、半導体産業における中国への依存度を減らすことが狙いだ。今後は、既に上院が可決しているUSICAとのすり合わせの作業が行われる。
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