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「かつてない印刷解像度」実現する3Dプリント新興企業半導体製造やディスプレイ向け(1/2 ページ)

スイスのETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)からスピンアウトした3Dプリント企業Scronaは、960万米ドルの資金調達ラウンドを完了した。調達した資金は、MEMSベースの微細加工プリントヘッド技術を適用した新しいプリント技術の産業化に使用する。ターゲット市場は、半導体製造とハイエンドディスプレイだという。

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 スイスのETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)からスピンアウトした3Dプリント企業Scronaは、960万米ドルの資金調達ラウンドを完了した。調達した資金は、MEMSベースの微細加工プリントヘッド技術を適用した新しいプリント技術の産業化に使用する。ターゲット市場は、半導体製造とハイエンドディスプレイだという。

革新的な製品製造の速度と精度、コスト改善を実現する技術

 Scronaは、「当社の技術は、サブマイクロメートル領域の“かつてない”印刷解像度を有する、業界初の量産向けマルチノズル静電プリントヘッドだ」と主張している。例えば、Scronaの解像度と層厚制御は、ゲームやメタバースアプリケーションで使用する拡張現実メガネの高輝度フルカラーmicroLEDディスプレイに用いられる、量子ドットRGBカラーフィルターの印刷を可能にする。

 Scronaの共同創設者でCEO(最高経営責任者)を務めるPatrick Galliker氏は、「当社のプリントヘッド技術の鍵は、解像度と粘度に加え、プリントヘッドをカスタマイズして数千個のノズルに拡張できる機能にある」と述べている。通常のピエゾベースのインクジェットヘッドでは、ノズルの出口ではなくヘッドの内側で力が発生するため、印刷の解像度と粘度に制限が生じる。Galliker氏はインタビューの中で、「当社はピエゾ素子を使用していない。その代わりに、液体の電気特性を利用している。そのため、液体は押されるのではなく引っ張られることになり、100倍以上の解像度でより高い精度を実現できる」と説明している。

 Scronaの技術による解像度は0.5μmと微細で、粘度は1万cps(センチポイズ)を超えている。これに対し、ピエゾベースのインクジェットは通常、解像度が50μm、粘度は50cps以下だ。


Scronaの技術は、非常に微細なサブミクロンスケールの印刷および噴射を提供する静電噴霧の原理をベースとしている[クリックで拡大] 出所:Scrona

 Scronaの技術は、非常に微細なサブミクロンスケールの印刷および噴射を提供する静電噴霧の原理をベースとしながら、金属や誘電体、有機物、生体材料などさまざまなインク材料を、従来のインクジェットプリントヘッドで使用されるインクの100倍以上の粘度で使用できるという。Scronaは、「当社の手法は、製造プロセスのコストを削減しながら、より高い柔軟性を提供できる」と述べている。同技術では、解像度とスループットが高い同一のプリントヘッドで、異なる特性を持つインクを使用することもできる。

 Galliker氏は、「Scronaは、あらゆる素材に大規模にデジタルプリントできるようにすると共に、現在および将来の革新的な製品製造の速度と精度、コストを改善する。エレクトロニクス業界にこの技術を導入してほしいと考えている」と述べている。

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