検索
連載

定年がうっすら見えてきたエンジニアが突き付けられた「お金がない」という現実「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(1)(6/8 ページ)

今回のテーマは、すばり「お金」です。定年が射程に入ってきた私が、あらためて気づいたのは、「お金がない」という現実でした。2019年には「老後2000万円問題」が物議をかもし、基礎年金問題への根本的な解決も見いだせない中、もはや最後に頼れるのは「自分」しかいません。正直、“英語に愛され”なくても生きていくことはできますが、“お金に愛されない”ことは命に関わります。本シリーズでは、“英語に愛されないエンジニア”が、本気でお金と向き合い、“お金に愛されるエンジニア”を目指します。

Share
Tweet
LINE
Hatena

江端のシニア投資戦略を考えてみる

 さて、ここからは、シニアエンジニア(「専門的知識や技術力に優れたエンジニア」という意味ではなく、「シニア(高齢)のエンジニア」という意味)である、この私、江端智一の、シニア投資戦略を考える上で、いろいろと調べたことを述べていきたいと思います。

 まず、投資と投機の違いについて、ざっくり調べてみました。

 どうやら、投機と投資を、きっかり分ける定義はないようです。株を売る(手放す)ことで得られるキャピタルゲインと、株の配当を得るインカムゲインの違いだけがあり、前者が”投機”、後者が”投資”と呼ばれる傾向がある、ということのようです。そして、どちらが優れている、というものでもないようです。

 終日コンピュータのディスプレイをにらんで株を売買するタイミングをリアルタイムで見張っているのが”投機”、四半期の決算表を印刷して、電卓(かエクセル)で計算しているのが”投資”という、ボンヤリとしたイメージで把握することにしました。

 で、私(江端)が取り得る戦略を環境から考えてみると、このどちらを選ぶべきかは、自ずと決まりました。

 私は、基本的にゲームが好きではありませんし、オンラインゲームに至っては一度も体験したことがありません。このことより、リアルタイムの株式相場を見ながら、瞬間に判断して、売買を繰返していくというトレーダーのような作業は、到底できそうにありません。それに小心者ですので、ミスジャッジをいつまでも引きずり、簡単に心の病に陥りそうです。

 比して、私は数字をいじくり倒すのが趣味ですし、簡単なエクセルのマクロや、決算表の数値を読みとるプログラムの作成などは、他の人よりは短時間でやれると思います。なにより、プログラミングが好きです。このアドバンテージを使わない手はないと思います。

 ですので、私は、いわゆる”投資”と呼ばれているもので、勝負してみたいと思います。

「デリバティブ」って何だ……

 次に、取り扱う”投資”の”商品”について調べてみました。

 まあ、これらは、ここに書いた通りのことです。預貯金は、「銀行の普通預金」のことですし、株式については、今更説明は不要かと思います。「信託」「公社債」などは、「丸投げ」と「超低リスク」などが特徴として上げられる金融商品です。

 で、問題はこちらです ―― デリバティブ

 これ、以前からずっと気になっていて、今回調べなおしてみたのですが、やっぱり分からなかったので、この機会に、自分が納得できるまで、書籍やネットを使って、徹底的に勉強してみました ―― で、ようやく、分かったような気になれたので、忘れないうちに記載しておきます。

 デリバティブとは、先物取引契約から派生 (デリバティブ)した、意外な使い方をする債券です ―― イメージとしては、「購入券」のようなものです。

 まず、先物取引について簡単に説明します。先物取引とは、未来の特定の日時に、特定の品物を、決められた量、決められた金額で「必ず売る」、または「必ず買う」という契約のことです。

 これは、農作物、石油などに良く使われます。仮に半年後の農作物が不作であろうが、豊作であろうが、品質がどんなものであろうが関係なく、取引を履行しなければなりません。

 この先物取引の何がうれしいかというと、半年後の農作物の値段が確定していれば、農作物から作られる料理の値段なども、半年前に確定できると言うことです。

 取引時に、実際の農作物が値上がりしていたとしても、買い手は、約束した値段で購入できますので、安心です。しかし、値下がりしていても、その値段では購入できませんので、もうけのチャンスを失うことにもなります。

 つまり、先物取引とは、買い手と売り手は、一方の”得”が、そのまま、他方の”損”になるという、ドラスティックな取引なのです ―― 価格の安定には貢献するので、売り手でも買い手でもない、部外者から見れば、まあまあ良いシステムとは言えます。

 これに対して、オプション取引とは、この先物取引契約書を土壇場で破り捨てることができるというものです。いわゆる「都合が悪くなったら捨てることのできる購入券」です。

 上図のオプション取引(右図)では、まゆりはビットコインが値上がりしていたら、必ずトクをしますが、値下がりしていた場合は、購入券を使わないで捨ててしまえば良いのです。まゆりは購入券の分だけ損害になりますが、大損害は回避できます。

 あれ? それなら、クリスだけが一方的に”損”するじゃないか? と思いますよね。

 つまり、このオプション取引の商品は、ビットコイン市場がほぼ崩壊していて、「半年後の8月1日時点で、値上がりの見込みは、絶望的」という状況下で、売られる商品なのです。

 つまり、これは、クリスの勝ちがほぼ確実という状況のみで成立する商品なのです。逆に言えば、まゆりの方が「8月1日に、ビットコインシステムの奇跡的な復活と、ビットコインの値上がりに賭けるギャンブラー」なのです。

 ひと言で言えば、まゆりは、30万円掛け捨ての、火災/地震保険、または、宝くじを買ったと考えれば良いのです。

 もっとも、このデリバティブのオプション取引商品は、値段設定が恐ろしく難しいそうです。なにしろ、価格を設定する方程式でノーベル賞を受賞できたくらいですから。ただし、この話には(悲惨な)続きがあります。興味のある方はこちらの記事「日本最高峰のブロックチェーンは、世界最長を誇るあのシステムだった」をご参照ください。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る