定年がうっすら見えてきたエンジニアが突き付けられた「お金がない」という現実:「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(1)(5/8 ページ)
今回のテーマは、すばり「お金」です。定年が射程に入ってきた私が、あらためて気づいたのは、「お金がない」という現実でした。2019年には「老後2000万円問題」が物議をかもし、基礎年金問題への根本的な解決も見いだせない中、もはや最後に頼れるのは「自分」しかいません。正直、“英語に愛され”なくても生きていくことはできますが、“お金に愛されない”ことは命に関わります。本シリーズでは、“英語に愛されないエンジニア”が、本気でお金と向き合い、“お金に愛されるエンジニア”を目指します。
なぜか異様に熱い、金融庁の「金融教育」
その中でも、私が『異様な程に熱い』と感じたのは、金融庁です。
パワーポイントを使ったシミュレーションゲーム『貯蓄・投資ゲーム』(上記の、”現実世界”ゲーム)のシナリオが、とても生々しくて、私好みです。
『新興国で高成長。』やら、『ドル紙幣と金の兌換を一時停止。為替大混乱。』やら、予想される世界金融危機(というか、過去の事件(ドッジライン、オイルショック、ブラザ合意、リーマンショック等))を、イベントとしたボードゲームのようです(参照)。
さて、ここで、『いろいろな団体が、ティーンエージャーの金融教育に手を出してきている』という事実が、何を語っているのかを考えてみたいと思います。
最初に考えられるのは、自分の業界の金融商品の売り込みです。(後述しますが)日本人の金融商品の所有率は、かなり低いです。特に『元本保証』に関しては、病的なほど気にしている様子が伺えます。
次に考えられるのは、少子化です。ただでさえ少ない金融商品の購買者が、これから更に減ることになれば、それは業界全体の死活問題です。加えて、2022年4月から、保護者の許諾なし18歳から金融商品を購入できるティーンエージャーへの売込み/取込みは、業界の存亡をかけた、ユーザー獲得の闘いなのかもしれません。
そして、ティーンエージャーが、これからの人生で動かすお金の額は、人生の大半を終えた、私のようなシニアとは比べものにならないほど大きいのです。
ざっくりと見える範囲だけでも、最低でも1人当たり1億円のお金が動く ―― という規模感の市場です。これはどの業界にとっても、看過することのできないビッグターゲットでしょう。
ただ、今回調べてみて分ったのですが、高校で教える金融教育というのは、人生の半分以上を生きてきた私たちシニアから見れば、既に実生活で体験済みの内容です。
少なくとも「100万円を1億円にする投資術」というような内容ではありませんでしたので、高校で金融教育を受けられる機会がなかったことを、くやしいと思う必要はなさそうです。
ちょっと余談になりますが、今回、「100万円を1億円にする投資術」という手の本を手に取って見てみたのですが、どれもこれも「本人の運の話」を書いているだけのように読めました。
つまり、高い確率で投資に成功するような具体的なノウハウや理論が、ほとんどない ―― というか絶無で、私の目から見ても「運がよくて、たまたまもうかっただけ」としか映りませんでした。ダイエット本*1)や、ビットコイン本*2)と同じです。
*1)「ダイエット本のタイトルから見える、奇妙な傾向とは」、*2)「ビットコインの“信用”を探し求めて」
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