検索
連載

「それでもコロナワクチンは怖い」という方と一緒に考えたい、11の臨床課題世界を「数字」で回してみよう(69)番外編(2/9 ページ)

EE Times Japanでおなじみの「エバタ・シバタコンビ」が戻ってきました。今回は、「健康上の都合からワクチン接種に対する恐怖心がどうしても消えない」という読者、”K”さんのメールに端を発したものです。そこからシバタ医師が読み取った、コロナ後遺症への対応などを含む、11個のクリニカル・クエスチョン(臨床上の課題)をご紹介します。

Share
Tweet
LINE
Hatena

”K”さんが置かれている、コロナ禍の状況

 それでは、”K”さんのプロフィール紹介から、前編を始めたいと思います。

 ”K”さんのメールからは、”K”さんを個人的に特定できる情報が入り込む恐れがありましたので、失礼ながら、私の方でまとめさせていただきました。

 最初にいただいたメールに対して、私は、現在持っている私の知見を繰返すことしかできませんでした*)

*)筆者ブログ「そこで提案ですが、いっそうのこと「私(江端)を信じてワクチン打ってみませんか?

 しかし、その後、私は”K”さんのメールを何度も読み直して、”K”さんの質問事項が、ワクチン接種をしなかった「過去の話」だけでなく、現状のご自分の状況を冷静に分析した上で、ご自分とご家族の「未来の話」に関して、質問されていることに気が付きました。

 「(i)コロナ後遺症の対策」「(ii)コロナ感染者のワクチン接種の必要性」「(iii)変異型に対する既存ワクチンの有効性」などは、私自身も、非常に興味のある内容でしたが ―― 私には、これに答えるだけの知識はありません。

 これに対しては、臨床的見地 ―― つまり『医療従事者の現場を知り尽している人の意見』が必要だと考えて、この段階で、シバタ先生を巻き込むことをひそかに決意していました。

 その後も、私は”K”さんとメールのやりとりをして、”K”さんの置かれている『コロナ禍の状況』を教えてもらうに至りました。

 (1)感染後遺症に苦しみ、(2)飲食店の経営者(クラスター直撃と経営危機の真っ最中)で、(3)(接種の是非が社会的な議論になっている)4人のお子さんのお母さん―― こんなすさまじい新型コロナウイルスのトリプル攻撃の被害者を、私は知りません



 ここで、前回(コロナシリーズ第7弾)の概要を、簡単に紹介してみたいと思います。

 このコラムでは、「一定の条件下であれば、ワクチン非接種が非論理的であるとは言えない」と論じています。しかし。そもそも、一定の条件下にいられない人 ―― 例えば、”K”さんのような状況にある方 ―― に対する検討がありません。つまり、社会的課題に対するアプローチとしては、不十分であると言わざるを得ません。

 そして、シバタ先生と私によるこれまでの7回のコラムで、決定的に欠けていたことが、個人的事情に基づく検討が絶無であった、という点です ―― もっとも、全ての読者の方に対する検討ができるわけではありません。ですが、私(江端)がその観点に気が付かなかったことは、批判されてもいいと思います。

 次に、”K”さんが、新型コロナワクチン接種が「できない」理由を以下にまとめてみました。

 私(江端)は、(1)健康上の問題もなく、免疫系の病症もなく、(3)過去にアナフィラキシーによる緊急搬送を一度も体験していません。そんな、私のような人間が、”K”さんの「恐怖」を、自分ごととして理解できるでしょうか ―― できるわけがない

 ワクチンと自己免疫系の問題が結びついていることは、ちょっと勉強した人なら自明のことです。“百万人の中での一人(100万分の1)”というアラフィラキシーの発生率は ―― それが、数値上は、東京都で10人程度の発生率であろうとも、『アナフィラキシーの死を実感する苦痛の中で、緊急搬送された』という過去の生々しい記憶の恐怖に、対抗できるわけがありません。

 また、自己免疫系の疾患が、子どもに遺伝しやすいことは、私たちの日常で十分に観測される事実です。そして、上記の「自分の遺伝子の問題によって、(ワクチン接種の影響が)子どもにも現われる可能性を否定できない」を読んだ時に ―― 『まったくその通りだ』と呟きながら、その視点に至れなかった自分の不明を、心底から遺憾に思いました。

 つまり、シバタ先生と私の過去7回のコラムは、「社会的課題に対するアプローチ」と、「個人的事情に対するアプローチ」の両方において、不十分であった、と結論づけるしかありません。



 さらに、”K”さんは現在、コロナ後遺症に苦しんでいます

 以下が、メールから読み取らせていただいた、それらの症状になります(ちなみに、”K”さんが、コロナに感染して発病や、救急車で搬送されるまでの、詳しいレポートもいただいておりますが、紙面の都合上割愛しております)。

 で、さらにこの後、絶望的な報告が続きます。”K”さんによれば、これらの苦痛を改善する決定的な治療法や薬品が、現時点では「ない」のです。

 現在”K”さんは、試行錯誤を繰返して、症状の緩和するクスリを選んで、毎日を凌いでいらっしゃるようです(また、医療機関に対する、この「コロナ後遺症の患者に対する扱いの”雑”さについて、『憤まんやるかたない』ご様子も伺っていますが、こちらについては割愛させていただきます)。



 この時点で、私のブログを読んだシバタ先生から、『”K”さんのメールを開示していただけませんか?』というご相談を受けました ―― 私にとっては、渡りに舟のご相談でしたので、私は、”K”さんの許諾をいただいて、「江端ファイアウォールを使った、お二人の間のメールの交換のゲートウェイ」を始めました。

 以下は、冒頭の"K"さんからのメールを読まれたシバタ先生が、"K"さんの疑問に答える形で送られたメール(江端編集済み)をご紹介したいと思います*)

*)引用文献が完全に記載されたメールの全文はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る