DC600Vを遮断するリレー、蓄電システムの高容量化に貢献:アークを“引き延ばして”遮断(1/2 ページ)
オムロンは2022年5月11日、定格がDC600V/50Aの高容量リレー「G9KB」を発表した。光発電システムや家庭用V2H(Vehicle to Home)、電気自動車向け急速充電器などの用途に向ける。
オムロンは2022年5月11日、定格がDC600V/50Aの高容量リレー「G9KB」を発表した。光発電システムや家庭用V2H(Vehicle to Home)、電気自動車向け急速充電器などの用途に向ける。
カーボンニュートラルへの取り組みにより、太陽光発電システムの導入が進んでいる。さらに、これまでのFIT(固定価格買取)制度に代わり2022年4月からFIP(Feed-In Premium)制度が始まったことで、再生可能エネルギーでは需給調整がより重要になっている。こうした背景から、電力の需給調整を行う蓄電システムの導入が加速するとともに、蓄電池の容量/出力の増加に対するニーズも高まっている。オムロンは、「蓄電システムの対象負荷が、これまでは一部の照明や家電に特定されていた。だが、全ての家電に電力を供給したいという要求が高まっていることから、蓄電システムには高容量化、高出力化というトレンドが見え始めている」と説明する。
永久磁石によるアーク遮断技術を搭載
ただし、高容量蓄電システムには課題もある。高容量直流電流のオン/オフ時にアークが発生してしまうことだ。アークによって接点が溶着すると、不具合が発生する可能性もある。
オムロンが今回発表したG9KBは、「アーク遮断技術」を採用している。具体的には、リレー内部の接点付近に永久磁石を配置し、その永久磁石の磁場の力を使ってアークを引き延ばすことで、アークを遮断する。「アークは延ばせば延ばすほど、切れやすくなる」(オムロン)。同技術により、高容量の直流電流(DC)の安全で確実な遮断を実現できたとする。
さらに、大阪大学などとの産学連携により、3次元アークシミュレーション(CAE)技術を確立。従来使用していた2次元のアークシミュレーション技術に比べて、アーク放電現象をより高精度に可視化できるようになり、リレーの設計/検証のスピードの向上、遮断技術の品質向上につながった。
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