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DC600Vを遮断するリレー、蓄電システムの高容量化に貢献:アークを“引き延ばして”遮断(2/2 ページ)
オムロンは2022年5月11日、定格がDC600V/50Aの高容量リレー「G9KB」を発表した。光発電システムや家庭用V2H(Vehicle to Home)、電気自動車向け急速充電器などの用途に向ける。
基板面積を約75%削減
G9KBの電気的寿命は、定格負荷において+/−2000回。「プラス、マイナスと区別することのない双方向開閉を、DC600Vという高い電圧レベルで実現している製品は、他にないのではないか」とオムロンは説明する。双方向開閉の実現により、同等の機能を備える片方向リレーと比較して、基板の床面積を約75%削減。コイル消費電力は約2.8W(保持電圧45%で0.57W)で、既存の同等品と比べて約60%削減できる。
G9KBと同等の機能を持つリレーは片方向なので、充電の方向、放電の方向にそれぞれリレーが2個ずつ必要になる。G9KBを採用することで、リレーの数量を減らすことができ、コイル消費電力と基板面積の削減につながる[クリックで拡大] 出所:オムロン
G9KBでは、2024年度までに4億円の売り上げを目指す
オムロンでは、リレーは電子部品事業に含まれる。同事業においてリレーは、スイッチ、コネクターと併せて売上高の77%を占める(2020年度時点)主力製品だ。
同社が2022年4月に発表した2021年度決算では、電子部品事業の売上高は1064億円で、前年度比で23.7%増と大幅な増収となった。電子部品事業の2022〜2024年度の中期経営計画では、2024年度に売上高1100億円、営業利益110億円を目標にしている。リレー/スイッチ/コネクターについては、「電気をつなぐ(オンにする)、切る(オフにする)技術として、特にDC向けの電子部品に注力していく」(オムロン)という。G9KBでは、2024年度までに4億円の売り上げを目指す。
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