ゲートドライバーを統合したSiCモジュール:Apex Microtechnology
Apex Microtechnologyは、SiC MOSFETを用いて性能と電力密度を向上させたデバイスファミリーを立ち上げた。同社は米国アリゾナ州に本社を構え、産業機器や計測/テスト、医療、航空宇宙/防衛、半導体製造装置といった幅広い分野向けに、アナログ/パワー製品を提供している。
Apex Microtechnologyは、SiC MOSFETを用いて性能と電力密度を向上させたデバイスファミリーを立ち上げた。同社は米国アリゾナ州に本社を構え、産業機器や計測/テスト、医療、航空宇宙/防衛、半導体製造装置といった幅広い分野向けに、アナログ/パワー製品を提供している。
電源のアプリケーションは、フットプリントが小さく高い効率を備えたソリューションに移行しつつある。電力密度を高めれば、デバイスをより小型のパッケージに収容できるようになる。SiC MOSFETは高いスイッチング周波数や高電圧、高電流、高効率が求められる電力アプリケーションで幅広く用いられるようになっている。
SiC MOSFETは、シリコンよりも高い接合部温度で動作できる。このため、SiCパワーデバイスはより良い温度管理を実現でき、サイズの縮小に貢献する。
通常、シリコンベースのパワーディスクリートやモジュールには、分厚いヒートシンクをベースとした冷却ソリューションが必要だが、それによりシステム全体が大きくなってしまう。一方でSiCは、フットプリントの小さいパッケージにおいて、温度管理で妥協することなく、高いレベルの電力密度を実現する。
Apex MicrotechnologyのSiC製品には、ハーフブリッジスイッチングモジュールの「SA110」や3相パワースイッチングモジュールの「SA310」がある。いずれの製品にもゲートドライバーが統合されている。
SiCパワーデバイスを設計する上で、Apex Microtechnologyが直面した最も厳しい課題の一つは、MOSFETドライバーとMOSFETゲートドライバーの統合(コパッケージング)だった。高いスイッチング周波数により、電流スルーレート(di/dt)は非常に高くなる。そのため、基板のレイアウト上で慎重にトレース配線を行い、クロストークを回避する必要がある。
さらに、高いスイッチング周波数では、表皮効果を無視できない。Apex Microtechnologyは、そうした潜在的な課題を、基板上に高度な厚膜技術を用いることで解決してきた。トレースをダブルプリントして厚くし、インピーダンスを減らすという手法である。
Apex Microtechnologyのコパッケージングソリューションのさらなる利点として、ゲートドライバーをSiC MOSFETの近傍に配置できることが挙げられる。これにより、より高いスイッチングレートで顕著になるゲートでのインダクタンスの影響を減らすことができるという。
同社は、熱経路、パッケージング、材料を吟味し、慎重に設計することで優れた温度管理を達成できたと主張する。例えばSA110は89Wを放熱でき、−40〜125℃の動作温度範囲を実現した。
SA110は、最大400kHzのスイッチング周波数と28Aの連続出力電流を実現している。パッケージは12ピンのPower SIP(DP)。SA310は、16ピンのPower DIP(KR)パッケージで提供され、3つの独立した絶縁型ハーフブリッジを統合している。出力電流は最大80Aである。
「SA111」はSiCベースの高出力ハーフブリッジモジュールで、20×20mmのSMDパッケージで提供される。MRIの勾配磁場コイルの駆動、モーター駆動、試験装置、サーバファン、PFC、AC-DCおよびDC-DCコンバーターなどのアプリケーションに向ける。ジャンクション温度は最大175℃。現在、一部の顧客向けにサンプル出荷を開始していて、2022年夏には量産を開始する予定だ。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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