耐圧1200VのSiC FET、低いオン抵抗×面積を実現:Qorvo/UnitedSiCの第4世代品(1/2 ページ)
SiCパワーデバイスを手掛けるUnitedSiC(現Qorvo)は2022年5月20日、同社の「第4世代(Gen4)SiC FET」となる耐圧1200VのSiC FETを発表した。なお、UnitedSiCは2021年11月にQorvoが買収し、現在はQorvoのパワーデバイスソリューションズ部門として事業を行っている。
SiCパワーデバイスを手掛けるUnitedSiC(現Qorvo)は2022年5月20日、同社の「第4世代(Gen4)SiC FET」となる耐圧1200VのSiC FETを発表した。なお、UnitedSiCは2021年11月にQorvoが買収し、現在はQorvoのパワーデバイスソリューションズ部門として事業を行っている。
同社は、SiC FETと低耐圧のシリコンMOSFETをカスコード接続することで、ノーマリーオフ動作と高性能なボディーダイオードを実現するSiCカスコードデバイスに注力してきた。2020年12月には、Gen4 SiC FETとして耐圧750Vの製品群を発表している。今回は、同じGen4のプラットフォームを用いた新製品で、ドレイン・ソース間オン抵抗(RDS(ON))が23mΩ、30mΩ、53mΩ、70mΩで、パッケージがTO-247-3LまたはTO-247-4Lの計6品種を提供する。UnitedSiCの創設者兼CEO(最高経営責任者)で、Qorvo パワーデバイスソリューションズ部門ジェネラルマネジャーを務めるChris Dries氏は「単位面積当たりで最も低いRDS(ON)を実現した」と強調する。
FoM(性能指数)についても、低EOSS(過電圧・過電流ストレス値)、低Qg(ゲート入力電荷量)、低COSS, tr(出力容量)を実現したとする。0〜12Vおよび0〜15Vのゲートドライバーを使用できるので、Si MOSFET、IGBT、SiC MOSFETのいずれのゲート駆動電圧と互換性がある。さらに、銀焼結ダイアタッチ(焼結銀ペーストによるダイアタッチ)の技術を用いることで、優れた熱性能も実現した。
Dries氏は「当社のGen4 SiC FETでは、セルピッチを狭めたトレンチ構造を採用していることに加え、ドリフト層を最適化した。基板の厚さも150μmから100μmへとさらに薄くしている」と説明する。「これらの技術により、RDC(ON)×面積の数値は、競合のSiC MOSFETに比べ、2倍以上優れている。当社の前世代品と比較しても40%削減している」(同氏)。スイッチング損失についても、前世代品から30%削減することに成功した。
新製品のうち30mΩ品を、他社の40mΩ品と比較した場合、「ダイサイズが47%小型化しているにもかかわらず、当社の30mΩ品は、より優れた熱抵抗を実現している」とDries氏は述べる。さらに、銀焼結ダイアタッチと基板の薄型化により、定格電流は31〜48%向上し、熱抵抗は40〜60%減少した。
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