耐圧1200VのSiC FET、低いオン抵抗×面積を実現:Qorvo/UnitedSiCの第4世代品(2/2 ページ)
SiCパワーデバイスを手掛けるUnitedSiC(現Qorvo)は2022年5月20日、同社の「第4世代(Gen4)SiC FET」となる耐圧1200VのSiC FETを発表した。なお、UnitedSiCは2021年11月にQorvoが買収し、現在はQorvoのパワーデバイスソリューションズ部門として事業を行っている。
自動車分野がけん引する1200V SiCパワーデバイス
Dries氏は、「1200VのSiCパワーデバイスは、バス電圧が800Vのシステムへと移行が進む自動車市場の成長の恩恵を受けている。トラクションインバーター、DC-DCコンバーター、OBC(オンボードチャージャー)などの用途で展開される」と述べる。
1200V Gen4 SiC FETの参考価格(1000個購入時)は、70mΩ/TO-247-3Lパッケージ品が6.92米ドル、23mΩ/TO-247-4Lパッケージ品が17.13米ドルとなっている。
Gen4 SiC FETは、米国のファウンドリーを使用し、150mm SiCウエハーにて製造される。Qorvoの傘下となったため、今後量産規模が増える場合については、Qorvoの自社ファブ活用についても、柔軟に考えていくとDries氏は述べる。「常に、最適なオプションを用意していきたい」(同氏)
“パワープレイヤー”として認知されるようになってきたQorvo/UnitedSiC
Qorvo パワーデバイスソリューションズ部門の日本代表を務める望月靖志氏は、「EV(電気自動車)、大型サーバ、産業機器などで大電力化が急速に進んでいて、それに伴いSiC市場は加速的に成長している」と述べる。Infineon TechnologiesやSTMicroelectronics、ロームなどの競合に比べ、「日本での知名度はまだ低いが、UnitedSiC/Qorvoの技術は、他社にはないほど最先端であり、国内からの関心は強いと感じている」と同氏は続ける。「最先端というのは、単位面積当たりのRDC(ON)が低いということ。面積を抑えつつ低いRDC(ON)を実現できるUnitedSiCのアーキテクチャは、他社に対して圧倒的に強みを持つ技術だ。国内販売代理店(マクニカ)や本社のWebサイトへのアクセス数も右肩上がりで、国内での知名度は上がってきているのではないか」(望月氏)
Dries氏も、「Qorvoは性能面、サポート面でも強く、この分野でのパワープレイヤーとして知られるようになっている」と述べた。
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