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「MacBook Pro」を分解、M1/M2と周辺チップの変遷をたどるこの10年で起こったこと、次の10年で起こること(64)(2/3 ページ)

今回は、Appleの「MacBook Pro」の分解結果を報告する。同社のプロセッサ「M1」「M2」や、周辺チップの変遷をたどってみたい。

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M1/M2搭載MacBook Proのプロセッサと周辺チップを比較する

 表2に、2020年版のM1 MacBook Proと2022年版のM2 MacBook Proについて、プロセッサおよび周辺チップを比較した結果を示す。


表2 M1搭載MacBook Pro、M2搭載MacBook Proについて、主要チップを比較した結果[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 プロセッサ型名は「APL1102」から「APL1109」に変更されていて、別物になっている。プロセッサと組み合わせる電源IC2個も、型名が別物になっている(内部はチップを開封して比較済み)。

 最も大きな違いは、プロセッサと対になるDRAMだ。M1ではLPDDR4Xが採用されていたが、M2では高速なLPDDR5が採用されている。表2には掲載していないが、それ以外のチップもいくつか置き換わっている。フラッシュメモリは引き続き日本のキオクシア製だが、容量がアップされ、別チップになっている。インタフェースチップやパワー半導体なども一部置き換えられている。基板の外観やサイズ、基板上のチップ配置などはほぼ同じだが、プロセッサおよび周辺チップは100%置き換わっているわけだ。

 一方でタッチパッド、オーディオコーデック、NFC(近距離無線通信)コントローラー、モーションセンサー、バッテリーチャージャー用ICなどは、2020年版と2022年版で全く同じものが使われている。端子位置もサイズも同じなので、2020年のMacBook Proの基板と、2022年のMacBook Proの基板だけ乗せ換えれば、M2版にアップグレードできる可能性があるものと思われる。

M1とM2を比較する

 図3は、プロセッサM1とM2の比較である。弊社では既に、M2のチップ開封を完了しているが、シリコン開封写真は省略する。


図3 M1とM2の比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 M1はTSMCの第1世代の5nmプロセスで製造されているが、M2は、改良した第2世代の5nmで製造されている。搭載されるトランジスタ数も160億個から200億個に、25%増加した。実際のシリコンサイズも図3のように、M2はM1に比べて一回り大きいものになっている。CPUコア数はともに8コア(高速コア4+高効率コア4)。内部のコアの種類が「A14」ベースか、「A15」ベースかについては、配線層剥離を行ったM2の解析で明らかになっているが、詳細はぜひテカナリエレポートで確認いただきたい。

 M2は、GPUコア数をM1に比べて2個増やし、10個(10コア)になっている。また、Neural Engineの性能も、11TOPSから15.8TOPSへと向上した。メモリインターフェースもLPDDR4XからLPDDR5に高速化されるなど、多くの面でスケールアップされ、M2を名乗るにふさわしいプロセッサになっている。今後、このM2をベースにさらなる進化を遂げるだろう。

 当社は、TSMCの4nmプロセスで製造されるMediaTekの「Dimensity 9000」や、Samsung Electronicsの4nmプロセスで製造されるQualcommの「Snapdragon 8 Gen1」、Samsungの「Exynos 2200」の解析なども終えている。これらにM2も加えて、CPU面積の比較などを行い、セミナーや講演会などで報告していく予定である。

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