車載イーサネットテストの先駆的企業が日本展開を強化:独Technica Engineering(2/4 ページ)
クルマの自動化/電動化が加速する中、既存技術に比べて高速大容量な通信が可能となる車載イーサネットの採用が進んでいる。この技術の黎明期からテスト/検証製品の開発やコンサルティングサービスなどを手掛けてきたのが、ドイツのTechnica Engineeringだ。今回、同社の事業開発部長、Erick Parra氏に事業内容や強み、新製品の概要などを聞いた。
自動車市場のメガトレンドが車載イーサネット導入を加速
下図は、Technicaが位置する欧州における自動車の電動化、自動化などのメガトレンドをまとめたものだ。Volkswagen GroupやBMWをはじめ主要自動車メーカーが多数存在する欧州では、世界的なトレンドと同様に、クルマのADAS(先進運転支援システム)およびAD(自動運転)、電動化、デジタル化そしてコネクティビティが大きく発展。センサーの高性能化および搭載数増による広い帯域幅やOTA(Over The Air)によるソフトウェア追加/更新の必要性などといった面から、車載イーサネットの要求が高まっている。
Parra氏は、「自動車メーカーは従来、これらの機能を市場に投入するために必要なエレクトロニクス、ソフトウェア/システム開発のノウハウを持っていない。そのため、われわれの車載イーサネットのコンサルティングおよび、テストツールそのものやテストプロセス、テストベンチ、テストの自動化などに対する需要が非常に高まっている」と説明している。
また、特に欧州では、一部地域でADASの自動運転レベル3、4のテストも許可されていることなどから、自動車メーカーでは活発なテストや開発が行われているほか、テストベンチやIT的なテスト戦略へのニーズが高まっているという。ここで求められるより高性能なECUおよび高速な通信技術、ネットワーク自体に影響を及ぼさないテストツール、新しいゲートウェイのコンセプトおよび実装なども、「まさにわれわれが提供しているものだ」と強調した。
下図は、E/Eアーキテクチャの変遷を示している。かつては車両のさまざまな部分に小型のECUを多数配置した集中型アーキテクチャだったのが、現在、インフォテインメントやコネクティビティ、ボディーなどの「ドメイン」ごとにまとめたドメインアーキテクチャへと移行してきた。Parra氏は、「ドメインごとにそれぞれ強力なコントロールユニットがあり、周辺機器と多くのインタフェースを持っている。つまり、車両に複数のゲートウェイを実装することになった。そしてここから、柔軟なソフトウェア設計が可能となった」と説明。「各自動車メーカーはソフトウェア重視の開発を行おうとしているが、この分野でかなり苦労している」と述べた。
また、今後はさらにゾーンアーキテクチャへの移行が期待されているが、そこではより広帯域幅のインタフェースを持つ多機能なECUへの要求があるほか、よりソフトウェア定義型のクルマへと変化することが見込まれることから、「われわれの製品/サービスへの需要はさらに高まるだろう」としていた。
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